法律のいろは

2024年9月4日 更新損害賠償請求のご相談

美容室のクレーム対応。どんなことに注意して、どのように対応すると良いでしょうか?

クレームの種類

 クレームといっても,法律的な問題が出てくるものはあくまでも一部です。接客態度が気に入らない(話し方や純粋な態度,物販品のセールスがしつこい等)・施術上の問題(髪型やカラーリングが要望と違う,純粋な失敗・カラーリング剤などが洋服などについた等)様々ありうるところです。

 

 髪型やカラーリング等について,明らかに左右で長さが同じはずのものが異なる・色味が明らかにムラが大きい等のミスであることが一般的な水準から明らかな場合は,ミスを前提とした対応が必要になります。

 これに対して,髪型が要望していたものと異なるという場合には,実際に異なったかどうかも問題となることがあります。髪型について注文と異なるというときの損害賠償請求等に関する裁判例は別のコラムでも触れていますが,明確なミスがない場合にはそう簡単に賠償請求の原因となる債務不履行にはなりません。ただ,トラブルを防ぐには,事前に希望の髪形を聞き取るだけでなく,記録に残しておくことが必要です。サロンによっては,リピーターの方向けに希望内容をメモで取っておき次回の来店の際に備えるということもあるかもしれませんが,今述べた意味でもトラブルを防ぐ(希望内容が何であったのかで言った言わないを防ぐ)意味もありえます。

 髪型については,施術後に実績例として,写真を撮影しSNS等に載せる場合もありえます。この場合も,肖像権侵害になる場合もありえますが(最高裁判例上,実際には刑事裁判での法廷での撮影などのケースその他になるので,サロンのケースとは異なります),実際に侵害になるかどうかを後で争うのは面倒なので,きちんと事前にSNS掲載の可否も含めて確認を取っておいた方がいいでしょう。クレームが出た場合には,承諾の有無を争う・侵害になるかどうかを争うことは迷惑をかけたことへの陳謝以外にありえます。

 

 カラーリング剤が洋服や皮膚についた場合は健康被害の可能性も出てきます。アレルギーその他の影響が問題になることもあるので,事前のカウンセリングは形式的だけではなくきちんと行っておいた方が安全です。実際にかぶれその他が生じたかどうかは,その方がご不満に思うところもあるかもしれませんが,確認はした方がいいでしょう。単にクリーニング代がかかったなどの場合には,その費用が生じたことにはなりますが,微妙に少し後の時期である場合には本当に施術が原因なのかが問題になることもあるためです。もちろん,施術がどうであったのか・施術当時にクレームその他があったのか等の確認は必要です。

賠償すべき範囲・行き過ぎたクレームの対応

 先ほども触れましたように,クレームのすべてで法的な問題が出るわけでもありません。その中でも賠償請求の問題が生じるのは限られてはきます。ミスが生じた場合でも,サービス不履行であることを理由とした代金返金はありえます。慰謝料が生じるということはあまり考えにくい面がありますが,仮に生じたとしても少額になることが多いと思われます。親御様の思い入れゆえにこじれる可能性があると思われることに,お子様の体毛筆を作る際に生じたミスがありえます。この場合に,思い入れによる慰謝料がどこまでなのかは難しい問題があります。基本的に,慰謝料は言い値ではなく,無理なお金の請求に対してまでは応じられないという必要があります。

 クレームには全く正当なもの(美容院側に落ち度があり,要求内容も無理のないもの)から,問題のあるもの(落ち度はあるが,要求内容に無理のあるもの)・無理なもの(落ち度もないものか法的な原因まではないもの)が大まかか分けることができます。問題になるのは後の二者ですが,無理な話を言ってサロンに居座る場合には退去を求めることが必要なこともあります。要求内容に無理がある場合には毅然とした対応(保険活用といっても,ケースによってはそもそも適用がない場合やそこまでは出ない場合があります)が必要になることもあります。

 

 健康被害の場合には,単なるかぶれその他で治療で終わるもの,目などに薬剤などが入り後々まで支障が出る場合には,その分の治療費や慰謝料などが出てくる場合もありえます。当然に当てはまるわけではありませんが,定型化されたケースで参考になるという意味では,交通事故の場合等の金額が参考にはなります。薬剤などによっては保険の免責事由になることもありえます。損害保険への加入はしておくことは必要ですが,免責事由等の確認も必要でしょう。

 

 先ほど,行き過ぎたクレームや無理なクレームについては毅然とした対応は必要と記載しました。ただ,迷惑をかけたことへの謝罪は必要ですし,原因や生じた内容がなんであるのかという点の確認は必要です。仮に,落ち度があるとしても無理に顧客の家まで夜間など無理な時間に呼びつけられることまで応じる必要はないというだけであって,原因や結果の内容,顧客の感情面などを踏まえて対応をどうすrか決めていく必要があります。

お電話でのお問い合わせ

082-569-7525

082-569-7525(クリックで発信)

電話受付 9:00〜18:00 日曜祝日休

  • オンライン・電話相談可能
  • 夜間・休日相談対応可能
  • 出張相談可能

メールでのお問い合わせ

勁草法律事務所 弁護士

早くから弁護士のサポートを得ることで解決できることがたくさんあります。
後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。

初回の打ち合わせは、有料です。
責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。
初回打ち合わせの目安:30分 5,500円(税込)