契約でどうなっているのかによります。
一般に建築工事では設計図書などにどのような仕様が予定されているのか・どのような内容の工事を行うのかが記載されています。そのため,これらの書類がある場合には記載通りの工事を故なうことが契約内容(施工業者が行うベき工事内容)となりますので,そこを満たさないことは契約内容不適合等として,損害賠償請求や解除などの原因となります。「追完」という予定通りの工事を行うことがサービスの手直しではなく,施工契約内容として求めることができます。
リフォーム工事については設計図書などがない場合がありますが,その場合も見積書(施工内容と金額が記載)等の記載から,一定の美観確保(そもそも美観といっても抽象的であり,どういう外観の確保が特に予定されていたのかが問題になります)が契約上予定されているといえれば同様に問題となってきます。
美観は先ほども触れたように抽象的な事項があり,施工業者に一定程度の施工面での裁量もあるので,施主が気に入らない→即賠償や解除などを当然に請求できるというわけでもなく,やり直しを当然に求めることができるわけでもありません。
リフォームの場合など既存の建物の影響をどう考えるのでしょうか?
新築の場合には,想定された寸法や外観が存在し,そこを調整するかどうかは工事次第という面があります。これに対し,リフォームなど既存の建物に手を加える工事の場合には,既存のその建物の状況に影響を受ける面があります。例えば,躯体による影響を受ける場合や幾分寸法がずれてしまうといった場合です。前者はそもそも,リフォーム工事による施工で不具合が出ているわけではありません。そのため,何かしら契約での取り決めがない場合には新築と異なり契約での想定を満たしていないことにはなりにくいものといえるでしょう。
契約で厳密に寸法の合意がない場合にはある程度の違いが生じるところまでは施主側で容認していると考えられるケースもありえます。リフォーム後の利用目的に沿った機能に支障がない限りは当然に契約内容で想定した水準に達しないとは考え難く,居住用のマンションとして利用するのに影響がない程度であれば,不適合は否定方向に向かう可能性があります。
これに対し,例えば,店舗など特定の目的に沿ったものであれば,その利用に影響がある寸法の間違いやサイズ感の異なるため利用する器具類が収まらない場合には不適合となる可能性があります。そもそも,小規模の店舗内装や建物のリフォームでは仕様を細かく決めることなく施工に至り,途中で手直しなどの申し出が施主からなされ直していく場合が考えられます。この場合は工事内容自体が不明確で,どこまでの工事が想定されていたのか・どこからが追加変更工事なのかが分かりにくいことがありえます。施工の不備が存在するのかどうかという点と追加工事だとしての追加の代金請求が混じる形でトラブルが大きくなる可能性があります。
曖昧な工事内容の場合であっても,疑義が生じた場合に協議を行いその記録があれば,後で言った言わないの問題(問題を指摘したのかどうかという点・どこまでが工事内容であったのかという点や追加変更であったのかという点)は防ぐことができます。施工する目的から見て支障が出る場合には,問題点の指摘を行い協議を行う義務が施工業者には出てくるでしょう。
いずれにしても,不具合の原因が何であるのか・不具合が想定されている建物の利用の句的に支障を大きくもたらすのか・契約書や使用書での厳密な合意があるのかどうかなどから考えていくことになります。工事以外の原因や施主の利用目的に大きな支障をもたらさないところまでは既存建物の回収であるところからある程度の容認がなされているものと考えられる場合がある点が新築工事との違いといえるかもしれません。
したがって,細かくこだわる施主の場合には,どこまでの施工をするのか・既存建物に問題があった場合はどうするのかなどの取り決めをあらかじめ行うか,先ほど触れた協議による合意をとっておいた方が安全と思われます。