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法律のいろは

2017年2月25日 更新損害賠償請求のご相談

デイサービスの利用者が認知症にかかり,徘徊した結果亡くなった場合に,運営施設に責任を認めたケース

 介護施設の利用者の中には,認知症にかかった方もいらっしゃるところです。高齢になるほどに認知症にかかる可能性が高まってくるところでもありますし,徘徊と呼ばれる症状が出ることがあります。徘徊によって利用者の死亡が生じた場合に,運営施設に法律上の責任が生じるかはこれまで裁判例が積み重なってきたところです。

 

 今回は,デイサービスの利用者で,認知症にかかっていた方が利用中にデイサービスの建物から抜け出し,亡くなったke-su

についての比較的最近の裁判例について触れていきます。

 

 問題となったケースは,社会福祉法人が運営するデイサービスを利用していた認知症にかかった方が,利用中に建物から抜け出し,低体温症で亡くなったという件について,遺族が施設側に損害賠償請求をしたというものです。

 簡単にまとめますと,そのケースでは,亡くなった方は,アルツハイマー型認知症にかかり,要介護度2・認知症高齢者自立度でも意思疎通や日常生活を行うのに困難な状況が日中夜間みられるという診断がなされていました。一方で,歩行には支障はありませんでした。その方は,事故があった日には帰宅願望を施設職員に述べていました。日中に,非常口から建物を抜け出し,数日後に亡くなっているのが発見されました。事故があったのは冬になります。

 

 このケースで,①施設側が十分な人の配置や徘徊があった際には容易に把握して連れ戻せるようにする体制を作るべきだったのに怠った②認知症にかかった高齢者で歩行障害がない方については,予想外の行動に出る・建物の外に出ることは想定できるのだから,そうならないように様子を見守る・外に出たことに気付いたならば早期に捜索をする義務がある,ことを根拠に,遺族側は施設側の義務違反を理由に損害賠償請求をしています。

 このケースの争点は他にもあり,亡くなった方が抜け出したことに義務違反が施設にあったとしても,死亡についてまで損害賠償責任の範囲に入るのかという点や損害の金額も争点になっています。前者は,因果関係の問題と呼ばれるもので,抜け出すことで死亡というのが通常あり得るものか・通常ありえないとしても,義務違反があった際に予測できたのであれば,因果関係ありとなります。ここは言い換えれば,そこまで損害賠償を支払う義務が生じます。

 

 裁判所の判断では,先ほどの義務違反について,①は否定したものの②は肯定しています。①は利用者に比べての人の配置,人の配置によって利用者全体の様子を把握できたのであるから問題ないというものです。②については,認知症による徘徊壁があったこと・帰宅願望を事故の日に口にしていたこと・抜け出す際に非常口方向にその方が向かっていったことを,施設側(職員)で把握していたことが重視されています。こうした事柄を把握していた場合には,所在確認を目視する・抜け出しがないように注意する義務があると判断しています。そのうえで,それを怠ったことを根拠に損害賠償の責任を認めています。

 

 先ほどの因果関係の問題は,抜け出して徘徊をしたからといって直ちに低体温症等の死亡原因にはつながらないので,様々な要素を考えていく必要があります。このケースでは,施設が所在するところと利用者の方の自宅の場所が離れていること・利用回収から土地勘があるといえるか,身体の状況から見て独力で帰りつけるかどうか・歩行能力からみて簡単に見つけられない場所に行けるかどうか(亡くなった場所は畑の中とされています)・季節的に低体温症があり得る時期か等の要素を考慮しています。結論として,低体温症による実際の亡くなった結果は十分に徘徊によって抜け出ることでああり得るということで,因果関係を認めています。つまり,死亡の結果も損害賠償の範囲に入るということです。

 

 このように,人的な体制等をそろえていたとしても,実際の問題になった方の様子(事前に把握していたことや当日の様子)・介護専門家として把握しているはずの事柄を踏まえて,見守り・対応をする義務違反を認めています。このことは,介護事業者の体制整備や教育のみならず,他の資源を使って事故を防ぐ必要性を示しているようにも思われます。

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