法律のいろは

2021年9月20日 更新損害賠償請求のご相談

アフィリエイト広告に問題があった場合、広告主の責任は?

はじめに

 自社の商品やサービスを紹介してもらうために、インターネットを使った広告として、ウェブサイトの運営を行う会社のサイトに商品・サービスのバナー広告を載せてもらう、その他SNSに載せてもらい、バナー広告やSNSを閲覧した人に商品やサービスを購入してもらう、ということが増えてきています。

 この場合、商品やサービスが適切に紹介されていれば問題ないですが、いわゆる誇大広告にあたる、虚偽の内容を含むことがありえます。このような場合、広告を依頼した会社は責任を負うでしょうか?

 

アフィリエイトとは?

 まず、アフィリエイトという言葉はなんとなく聞いたことがあるけれども良く分からない、という方もおられると思いますので、アフィリエイトについて説明します。

 アフィリエイトは、インターネットを使った広告方法の一つになります。一部導入のところと内容が重なりますが、ウェブサイトの運営をする会社などがまず、そのホームページサイトに他の会社などが提供している商品やサービスの広告などを掲載します。そして、そのサイトを見た人(消費者)が商品やサービスを提供している会社などのホームページなどにアクセスして、商品やサービスを購入したり、購入の申込をした場合などに、事前に定める条件に従い、その広告を掲載する運営会社などに広告を載せてもらった会社が成功報酬を支払う、という仕組みになります。

 アフィリエイトには、広告を載せたいと思う会社等と、ウェブサイトを運営する会社等との間で直接広告を載せることについて契約する場合と,広告を載せたいと思う会社とウェブサイト運営者を仲介しているもの(「アフィリエイト・サービス・プロバイダ」,略して「ASP」)との間で契約を締結する場合とがあります。

 上記の仕組みによると,アフィリエイトサイトを運営する会社等(「アフィリエイター」といいます。)は,運営しているウェブサイトやSNSなどに商品やサービスの宣伝を載せ、それにより商品やサービスが売れるほど報酬が得られることになります。そのため,報酬をより多く得ようと実際よりも商品・サービスが優れているように見せかける、誇大広告やうその内容を載せることで、よりアクセス数を増やそうとするケースが出てきます。実際にもそういった事実と異なる内容の広告を載せていたということで、行政処分されることもあります。

 そのため、これから述べるような法的問題が出てくることになります。

 

アフィリエイトサイトにおける法的問題とは?

 アフィリエイターが実際の商品やサービスの性能よりも良く見せかける,誇大広告や虚偽の内容を掲載した場合、景品表示法や医薬品・医療機器等の品質・有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下,「薬機法」といいます。)などの規制に違反するものだったとします。この場合,広告を掲載することで依頼していた会社等がそのアフィリエイト広告について法的な責任を負うことになるのでしょうか?

 景品表示法については,消費者庁が出している「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項」に記載されている内容が参考になります。これによると,広告などの表示内容について説明を受けたうえで,内容を決めた場合のみならず,自分が表示する内容を決めたわけではないが,どういった内容を表示するかどうか広告を作成する者に任せたという場合でも,表示をした者として法的責任を負うことになります。実際に、アフィリエイトサイトでの表示について,広告主が表示内容にかかわっている場合・内容決定をアフィリエイターに任せている場合も含めて,広告主は景品表示法などの措置を受ける事業者にあたるとされています。

 ですから,広告内容をアフィリエイターに丸投げしてしまって,内容のチェックをしていないという場合であったとしても商品・サービスの提供者は広告主として法的責任を負うことになりますので注意が必要です。アフィリエイトに関して措置命令,課徴金納付命令が出されたケースでは数千万単位で課徴金が科されているものもあります。また,仮に法的責任自体免れたとしても,実際の商品やサービスの品質等と異なる表示がされている場合には、口コミなどでマイナスの評判が広がってしまう可能性があります。

 そのため,広告内容については適宜確認する必要があるのはもちろんのこと,商品やサービスの内容について実際よりも著しく優良である等,あるいは商品やサービスの内容が他の同種や類似の商品やサービスと比べて著しく有利と誤認されるものになっていないかのチェックを行うことが必要です。また,そういった内容に取られないよう、商品やサービスの紹介文については定型的なものをアフィリエイターに提供し、そこから外れる内容とならないようにしてもらうのも一つでしょう。

 広告を載せてもらう会社とアフィリエイターやASPとの契約内容についても,前述のような法令を遵守する定め,アフィリエイト記事により損害が発生した場合の損害賠償責任などについても明確にすることで,広告等を作成するアフィリエイターに対する責任の所在をはっきりさせるようにしておくことも重要といえます。

 なお、消費者庁はこういったアフィリエイト広告について表示の適性化に向けての検討会を既に始めており,ASPに対するアンケート調査や関係者へのヒアリングなどの実態調査などを踏まえ今年中に景品等表示法の適用等に関する考え方や不当表示の未然防止などのための取り組みなどについての結論を示すとしています。今後は消費者庁の発表を踏まえて対策を考えていく必要があるでしょう。

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