法律のいろは

2020年3月8日 更新損害賠償請求のご相談

従業員が起こした事故や事件について,どこまで会社として賠償責任があるのでしょうか?

従業員が起こした事件事故について,会社が賠償責任を負う場合

 建設現場や運送業など業務の再中に事件や事故が起きることは十分あるところです。同じことは,例えば,接客をする美容業や飲食業であっても,カラー材で服を汚した・運んでいた飲食物をこぼしてお客様にやけどさせたなど様々です。直接は従業員が,元請先やお客様,全く関係ない方(交通事故の場合等)に被害を与えていますが,こうした際に会社も賠償責任を負うのでしょうか?

 

 結論から言えば,先ほど挙げたような話の場合には,会社も賠償責任を負うケースは多くなるでしょう。法律上,自社の業務中に従業員が起こした事件や事故によって与えた損害については原則として自社にも賠償責任が生じます。ここでの例外はかなり厳しく解釈されていて,よほど注意をしても生じた事件事故以外は免責は認められません。そのため,業務中に生じた従業員に賠償責任が生じる事件や事故については自社にも賠償責任が生じると考えておいた方がいいように思われます。損害の負担を避けるためには,損害保険会社が販売している業務上の災害等に対する保険や自動車保険を活用する音などが考えられます。

 

 ちなみに,ここで会社が賠償責任を負うのは,従業員を使って危険を管理するとともに利益を得ている・だから危険が事故などで現実化した場合やマイナス部分(損失や損害)も負担すべきであるという考え方に基づくものです。自社が賠償をした場合には従業員に支払ったお金を請求できると法律上では定められていますが,こうした考え方から公平の観点から請求できる場合と金額が制限されています。そのため,実際には請求ができる範囲は小さくなる可能性があります。

仕事の現場での従業員の事件事故に会社が賠償責任を負わない場合とは?

 問題となるのは,どこまでが「業務中の事件や事故」といえるのかという話です。業務時間中に業務をしていての事件や事故が当てはまるのはあまり問題にはなりません。これが休憩中の個人的なケンカであればどうなるのか・業務時間中に業務とは関係ないものであればどうか・業務場所ではあるものの,業務時間中でもなく特に業務指示もない場合はどうかという話は一応は問題にはなります。

 ただし,こうしたケースについて,休憩中は従業員が自由に使うことができる時間であり,個人的な事柄は仕事とは関係ありません。業務時間中に業務とは全く関係ないというのであれば,業務中の事件や事故とは言えません。問題は,業務とは直接は関係がない場合ですが,密接には関係している場合やそのように見えるだけの状況がある場合には,業務中の事件や事故またはそうした信頼を守るために賠償責任を負うことがありえます。同様の話は,業務移管外の話についても言えます。実際には,ケースごとの事情にはよりますが,例えば,仕事そのものではないが,会社から出席義務の課せられている歓送迎会での役員などによる指示で行われたことについての事故ということになると該当する可能性が増えていきます。

 ちなみに,単に残業に過ぎない場合には,当然業務中のものと言えますから,会社が賠償責任を負わないとは言いにくくなっていきます。

 

 これに対して,業務時間外に会社の事務室や店舗で起こした盗難行為の場合には,こうした盗難を会社が指示することはないでしょうし,会社がそこを管理監督し利益を得ているわけでもありませんので,業務中の事件や事故とは言い難いでしょう。建設現場などで,業務とは関係なく出入りしている従業員が時間外に盗難事件を起こすような場合でも,同様のことが言えますから,業務中の事件や事故とは言いにくくなってくるものと思われます。

 

 ケースごとの事情によって微妙な話になってくることも考えられますが,会社の管理が及ばない話や業務と関係がない話には,そう簡単には会社が賠償責任を負うとは言いにくくなってくるでしょう。

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