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法律のいろは

2019年12月30日 更新損害賠償請求のご相談

介護施設や福祉施設での対応への不満。利用者の方の記録を家族が取り寄せることが出来るのでしょうか?

はじめに

 特にご高齢になった方でショートスティや長期の入居における介護福祉サービスの利用は地域包括ケアの流れがあるものの,広く利用されているところです。不幸にして何かしらの事故や対応の不満が利用者のご家族に生じる場合があります。こうした場合に,普段から家族が様々な書類にサインをしているからということで,記録の開示を求めたいという場合がありますが、施設の側に当然に開示を求められるのでしょうか?今回はこの点について取り上げます。

利用者の居宅介護支援記録や業務記録等は個人情報

 そもそも,こうした場合はクレームの処理として対応機関を契約上等で定めているのが通常ですが,電話などでのやり取りで不満を持っている・けれども,記録などは事業者側が集中して持っているのが普通です。ここから,そうした情報も見せてもらいたい・説明を受けたいという希望がご家族に出てくるところですが,説明はともかく記録まで当然に開示を受けられるのかには問題があります。

 介護サービスや福祉サービスは,要介護度その他利用している方の氏名や住所・病歴・健康状況などが載せられている可能性があります。個人を識別させる情報は「個人情報」とされ,利用目的や第三者の開示について法律で規制されています。介護福祉事業を営む方は現在の法律では例外なく個人情報を取り扱う方ですので,この法律の適用を受けます。先ほどの利用者の記録がここに含まれる点には問題はありません。居宅介護事業者所の個人時報の取り扱いについては、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」を参考にするとよいでしょう。

 特に,個人の病歴や犯罪情報等を記載した情報は「要配慮情報」と呼ばれ,第三者への開示などについてかなりの規制を受けています。ここにいう要配慮情報に先ほどの介護等の記録が含まれるのかどうかがとりあえず問題になるところです。

 こういった「要配慮情報」にあたるかは法令に定めがあり,それに基づく取り扱いなどは「個人情報保護法ガイドライン」というもので定められています。問題になりそうな点だけを触れると,過去病気になった経歴や健康診断の結果・発達障害や精神障害・身体障害などの記載があるものが該当するとされています。ここでいう障害とされるものは,そうした事柄に該当するとの判断がされていることの内容です。注意点は,単に介護や処遇をした記録であれば該当しないという点です。もちろん,ここでいう「要配慮情報」とそうではない個人情報が交じり合うという形は想定されるので,取り扱いに十分注意が必要になってきます。

個人情報が開示される場合とは?

 個人情報や要配慮情報の開示ルールについては法令で定められています。重要なのは,たとえ家族であっても法令の扱いでは「第三者」,要は他人であるという点です。

 

 まず,利用者ご本人からの開示請求があれば問題ないのは言うまでもありません。親権者(利用者ご本人が未成年者の場合)や成年後見人(こちらは,障害福祉サービス・高齢者介護サービスともにありえます。実際はご親族が後見人になるケースが多いと思われます)であっても同様に考えることができます。ちなみに,同意は予めでいいとされています。

 要配慮情報に当てはまるのかで大きく変わってくる点は,利用者ご本人の同意を得られなくても開示を求められるのかについてです。それは,利用者本人の同意がなくても,事前に一定の措置を事業者が講じていればご本人の拒否なく開示ができるのかどうかという点です。要配慮情報であれば,こうした開示はできなくなります。

 ここでいう開示は,実際には個人情報を事業用で第三者に提供できるかどうかを前提においていますが,規制としては変わりません。利用者ご本人の同意がなくても開示ができる場合があります。

① 警察や裁判所・弁護士会から照会がある場合

② 利用者ご本人の生命や身体に関する必要がある場合でご本人の同意を得ることが困難である場合

が大きなものです。このほか官公署からの照会(①も含まれます)や児童虐待防止などの必要がある場合もあります。①は,弁護士に依頼をしての照会の場合や民事裁判での裁判所からの照会の場合も含みますが,通常は今回触れるように事前の照会への対応をどうするのかという点が問題になるものと思われます。②は今回問題としているケースとは異なり,治療などのために必要だけれどもご本人の同意を得られない場合などです。

 こうした事もあるので,特にトラブルになりかねない場面では情報開示は必要なものの,開示自体でトラブルにならないように注意をする必要があります。介護などの契約の場面で署名代理のみで認知症の可能性が極めて高い方でも契約をご本人が行った形になっているケースもありますが,場合によっては後で大きなトラブルになる可能性もあります。家族が普段のお金の管理などを行っていても,これは実際にはイレギュラーな形で情報の開示請求も利用者ご本人がされるのが原則です。亡くなられた場合には相続人にあたる方・ご本人が難しい場合には成年後見人等になってきます。開示請求が適切になされた場合であるのに開示をしない・記録をとっておかない等の事柄は後でトラブルなどになりかねませんので避けておいた方がいいでしょう。

 いずれにせよ、家族の方が利用者の記録を取り寄せようとする具体的な理由を確認した上で、利用者本人の同意なしに開示が認められるケースにあたるか個別に判断していくことが必要になってきます。場合によっては市町村や地域包括支援センターなどの木かと相談しながら連携を取ることもすべきでしょう。

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