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法律のいろは

2019年12月30日 更新損害賠償請求のご相談

利用者の家族から利用者の顔写真が無断掲載されているとの苦情が出ないようにするには?

はじめに

 デイケアや施設では、ご家族の方向けに施設でのレクリエーションの様子などを撮影した写真を掲載した広報紙のようなものを作成したり、ホームページに掲載したりすることがあるでしょう。
 ひところ前の場合は、そういった施設の利用者の方の顔が判別できるような写真が掲載されていても、特に文句が出るようなこともなかったと思います。しかし、こと施設のホームページや、あるいは職員がSNSでそういったレクリエーションの様子を写真に載せると、瞬く間に情報が伝播しますので、写っている利用者やその家族の了承なく掲載すると、あとでトラブルになることがあります。こういったことでのトラブルを防ぐにはどのようにすると良いでしょうか?

利用者の方の顔の写真は肖像権が問題に

 施設・サービス利用者の方には、みだりに他人から写真を撮影されたり、公表されたりしないよう、誰に対しても主張できる権利のことを言います。肖像権には、一般に以下の3つが含まれているとされています。
①みだりに撮影されない権利
②撮影された写真をみだりに公表されない権利
③肖像の利用に対する本人の財産的利益を保護する権利(パブリシティ兼)
このうち③は芸能人・スポーツ選手等、有名人や著名人のグッズ販売などを指します。
 今回のような利用者の写真がホームページなどに無断に掲載されたという場合は、主に①、②(特に②)の権利が問題になってくる場面です。一般的に公人など、顔の写真が公表されることに特に異論がない場合を除き、普通の一般的な生活を送る人からすれば勝手に自分の写真がさらされることを嫌がることが多いため施設側としても十分な配慮が求められることになります。

個人情報に関する取扱いについて同意書を交わすのが一般

 通常は施設やサービスの利用開始にあたって、各契約書を交わす際に、個人情報の取り扱いに関する同意書も結ぶことが多いでしょう。その際にイベント開催の際のレポートなどの写真を撮るときに顔写真が掲載されてもよいか、施設が発行する広報誌やホームページなどに写真を掲載してもよいかを書面で確認し、同意を得ている人のみ掲載するようにするべきです。施設・サービス利用者の方が認知症など、判断能力が十分でない場合は、家族や成年後見人等がこういった同意書について同意をするかどうか決めることになります。
 後からイベントの様子を撮影するのであれば、顔の判別は出来ないですが、角度によっては利用者の方の顔が写ることもあるため、同意を得ているかどうかによりモザイクにするか対応を変える必要が出て来ます。
 施設やサービス提供業者によっては、こういったイベントごとについて個別に同意を交わすことをしなかったり、していても同意を得ている人とそうでない人とを分けるのは効率的でないから、あるいはモザイクを掛けると殺風景になるからといって結局掲載していることもあるようですが、そうなると個人情報に関する取扱いについて個別に同意書を取る意味がなくなってしまいます。利用者や家族によってはその施設にいることを他の親族や知人に知られたくないというケースもありますから、より慎重に対応する必要があるでしょう。

職員に対して個人情報の管理の徹底を

 レクリエーションの様子などを広報するのは施設・サービス提供者の活動を広く知ってもらう上では重要なことですが、わざわざ利用者の方の顔写真まで載せる必要がないことが一般的でしょう。利用者の方も含めて写真撮影するのであれば、顔が写らないよう後ろから撮る、基本的には顔写真にはモザイクを掛けるようにするのが無難なやり方です。
 また、従業員個人が自分で運用しているfacebookやInstagramなどにも無断で利用者の顔写真を撮って掲載することがないよう、定期的に研修などの際にSNSの注意点等を学ぶ時間を作るということも大切になります。発信する従業員自身がそういったリスクをよく理解しないままSNSを利用していることが多いので、SNSの炎上のケースも含めて施設側が実際に対応したケースがあれば具体的に取り上げることで、従業員に身近な問題と認識してもらう取り組みが必要です。また、こういった炎上事案も含めて利用者の個人情報に関わるものの流出は会社の信用にダメージが生じうること,懲戒処分の対象になりうる重いものであること、損害賠償責任も問われかねないことなどの具体的なリスクが生じうることもしっかり理解してもらうことが大事です。
 他の業種でもいえることですが、ことに介護施設事業者や福祉サービス提供者が個人情報についてずさんな管理をしているとなると、現に利用している人やその家族だけでなく、これから利用しようとする人からの信用にも影響することになります。ですから、施設、サービス提供者全体で今後はこういった個人に関する情報についての管理をしっかりする体制づくりをしておくことが重要といえるでしょう。

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