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法律のいろは

2019年12月30日 更新損害賠償請求のご相談

障がい福祉施設を賃貸物件で行う場合に注意すべき点とは?

賃貸物件の大幅な改装が必要な場合用途変更の手続きが必要

   ここ最近は放課後デイサービスや発達障がいなどの子供達の支援や就労にあたっての支援などを目的に障がい福祉施設が新たに設置されるケースを見かけます。このような障がい福祉事業を新たに行う場合には、利用者の方が障害を持つ方であるという点から、火災が起きた際の安全・避難経路などに関わる消防法や建築基準法など、各法令で定められている要件を満たした上で、設置基準をクリアする必要があります。
    設備基準は障害者自立支援法の規定に基づき、指定障害福祉サービスごとに人員、設備、運営に関する基準が設けられており、それに従う必要があります。例えば、就労継続支援(通常の事業所で雇われて仕事をすることが困難な障害のある方に、就労の機会を提供するとともに、生産活動などの機会の提供を通じて知識・能力向上に必要な訓練を行う事業)を行う場合は、職業指導員、生活支援員は利用者10人につき各1人以上、設備について訓練作業室は訓練または作業に支障がない広さであること,訓練などに必要な機械器具などがあること、相談室はプライバシーに配慮した空間にすること、洗面所はトイレ手洗いと洗面所が別であること、などを満たす必要があります。訓練作業室については各府県や市町村で独自の定めを置いていることもあるため、それらについても目配りが必要になります。ちなみに広島市の場合は非常災害に関する対策などで独自に夜間を想定した避難訓練の実施などの努力義務が別途定められています。
    こういった設置基準をクリアできるようにするため、従前の賃借物件の大幅な改装が必要になるときは用途変更をしなければならないこともあります。2018年の建築基準法改正により用途変更の規模が200㎡を超える物件は確認申請が必要となっています。

用途変更をするのに建築確認がされていない場合は?

   それでは、たとえば新たに開設する予定の放課後デイサービスの施設の規模が200㎡を超えるけれども、建築確認がされていなかったことが判明した場合にはどうすればよいのでしょうか?
 完了検査を受けているかどうかは改修工事をするにあたって確認申請を出す上で一番重要な要件であって、検査を受けていないことが判明した場合は、基本的には確認申請時の建築基準法を満たしていたことを事業を行おうとする側で証明しなければなりません。それには建築士に依頼をして建物調査を行い、当時の建築基準法の内容を調べてもらうとともに、既にある建物が一つ一つ要件を満たしているか確認してもらわなければなりません。
 具体的には国土交通省の「検査済証のない建築物に係る指定検査機関等を活用した建築基準法適合調査のためのガイドライン」で検査済証のない建物で、改修工事の確認申請を行うための手続きの指針を定めたものがありますので、この内容に沿って行うことになります。ただ、元の建て主と現在のオーナーが替わっており、その際に新築時の建物の図面や書類関係が引き継がれていなかったりすると、そもそも図面と目視による調査を行って現況と図面の違いを精査することが出来なくなります。またある程度図面があった場合でも構造については図面と目視だけでなく,それらが現況と合っているか,実測と建物内の調査も行う必要が出てきます。構造に関しては,構造計算書があれば構造が適法なものかどうか図面により確認できます。構造計算書が残っていなかった場合でも、構造図が残っていると構造計算書の復元が出来ますが、構造図がない、あるいは特に柱や梁の寸法が分かる部材に関する資料が残っていないと構造図を復元するための調査が必要になり、数百万単位で費用がかかることになります。また、実測調査をする場合も、既に内装を行ってしまったあとでは、例えばコンクリートの中性化がどのくらい進んでいるかを調査する際のコンクリート片の抜き取りをすると、その後の補修工事が必要になります。タイルの補修の場合、古い物件では既にそのタイルが廃盤になっているということもあり、実測調査とそれに伴う費用もばかにならないこともあります。
 こうした建築基準法適合調査を行うにあたってかかる費用の大きさから、結局のところ当初予定していた障がい福祉事業の開設を断念せざるを得ない場合もあるでしょう。

障がい福祉施設の開設ができなくなったときの損害は誰に求められる?

   このように、せっかく計画していた障害福祉施設の開設について、建築確認がされていなかったことが判明し、予算等の理由から断念せざるを得なくなった場合の損害は誰に対してどのくらい請求できるのでしょうか?
 こういった当初の利用目的が諸般の事情により達成できなくなった場合の損害を求めて裁判になるケースは裁判例でも見られるところです。実際にも介護施設を開設しようとして建物を賃借したにもかかわらず、検査済証が交付されていなかったため用途変更確認申請が出来ず、設置を断念したというケースで、不動産仲介業者(貸主側・借主側とも)に対して損害の一部の請求を認めたというものがあります。このケースは借主側の仲介業者が介護施設で利用するための賃借希望であることを知っていながら、貸主側の仲介業者から他の業者から介護施設としての利用目的で問い合わせがあった際に検査済証がないことを伝えると賃借を断られるという事情があったにもいかかわらず、伝えていなかったこと、貸主側の仲介業者も借主側の仲介業者に上記を伝えていたのに借りるとの申し出があったことに疑問を持たず、改めて検査済証がないことを伝えて確認することもしていなかったことについて、双方ともに注意義務違反を肯定しています。損害の範囲については、借主が建物で介護施設を開業できると信じたことで支出した費用に限り認められており、具体的には支払済賃料、仲介手数料、内装工事費用などについて肯定されており、実際介護施設を開業することで得られたであろう収益などについては否定されています。他方、オーナーである貸主については、本件の場合、借主との間で用途変更確認が受けられるよう合意をしていたという訳ではなかったため、現状の建物をそのまま引き渡すので足りるとして責任を否定しています。
 なお、この事案では、用途変更確認申請は、工事着手前に行うべきであったことから、借主である原告側に一定の過失があるとして3割過失相殺されています。
 そのため、こういった建築確認申請などの様々な手続きの確認が必要になる場合には、見切り発車で進めるのではなく、法的に問題になる点がないか一つ一つ確認して進めることが必要になってくるといえるでしょう。

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