
小規模なリフォーム工事には建築確認が必要でない場合があります
建築基準法では,新築の場合はもちろん大きな増改築の場合には建築確認の申請が必要とされています。こうした申請がある場合には,各工事の内容によって構造部分上の問題が出てくるのかどうか等建築基準法で定める基準を満たすかどうかはきちんと調査をするのが普通です。そのため,問題なく調査と確認が行われかつそれに基づいて施工がなされている限り,基準を満たさないということは通常は考えにくいです。
これに対して,デザイン面が中心であるなど小規模なリフォーム工事については建築確認が必要ではありません。こうした場合にいくら施主の希望がありその通りに工事をする合意をしたからといっても,内容によっては構造部分に影響が出てくることがありえます。こうした場合には,問題があるのかどうかの確認や調査は当然に話されないので,あとになって建築基準法上の基準を満たさないという問題が出てくることがありえます。この基準を満たしていないということは,安全上問題が大きな建物ということで違法な建築物となってしまいます。
問題を防ぐためには
施工業者はリフォーム工事を中心に業務としていたとしても当然専門家になります。エンドユーザーである施主が工事によって安全上問題のある違法建築になることを要望することは考えにくく,発注の際の前提として,建築基準法に適合する(安全水準などで問題のないもの)工事をしてもらうのが通常です。これは,違法建築になってしまうと除却その他の問題が出てきますから,そうなってしまう工事を依頼することはないのが普通です。専門家として依頼を受ける側もそうなってしまうと工事によって無意味な建物になりかねませんから,そうした工事をしないというのが前提になってきます。
こうした事から,注文書や契約書にこうした法令に適合するかどうかの記載がなかったとしても,建築基準法に適合する工事を行うことは契約の内容になっていると考えられます。そのため,いくら施主側の要望があったにしても,きちんと調査をすることなく工事をして違法建築にしてしまった場合には,契約違反があるということになりかねません。そうなると,後で再度適合するようにする等の必要が出て費用がかかればその請求を受けるリスクが出てきます。もちろん,風評リスク(きちんと工事や調査をしてくれない)が出てくる可能性もあります。
こうしたリスクを防ぐには,小規模なリフォームで仮にデザイン面などが中心であってもその工事の結果建築基準法に適合しないことになるのかどうかの調査や確認は必要になってきます。また,こうした調査や確認をした結果を施主に伝えて,要望通りにできること・できないことをきちんと説明しておく必要があります。それでも,希望通りに工事を依頼してくる方に対しては工事ができないことを伝えて契約をしない(後でトラブルを抱えるリスクがあるため)等の対応をするなど注意をしておく必要があります。