法律のいろは

2019年10月27日 更新損害賠償請求のご相談

サロンや店舗,事業所が賃貸オーナーの都合で使えなくなった場合の家賃や営業補償はどうなるのでしょうか?

○借りているスペースが使えない場合の家賃の支払い義務は?

 美容室などのサロンや飲食店の店舗,福祉事業の事業所など建物内のスペースを賃貸オーナーから借りて事業をされているケースは様々あろうかと思われます。ショッピングモール内やビルの一室・マンションの一室などが考えられます。修理のため,賃貸オーナーの都合によって修理や工事・その他の事情によって,借りているスペースが使えなくなることはありえます。こうした場合に,家賃や営業できない場合の問題をどうなるのかは気になるところです。

 

 いうまでもありませんが,ご自身が借りている物件を損壊した(例えば,危惧が壊して水浸しにしたため使えなくなった)ことによる場合には,家賃の支払い義務が残ります。この場合には,修理の費用もご自身の負担となります。
 これに対して,ここで問題となっている賃貸オーナーの都合による場合には,今のところの法律では家賃の減額を請求できるとされています。使えない割合いに応じての減額ですから,こうした割合がどこまでなのか・全てが使えないならばその根拠が何かは相当問題になってきます。一部工事で他は使えるという話が出てきても,使い方から見て難しい場合にはその根拠が必要です。そもそも,減額してほしいという必要があります。

 契約書で当然に減額するというはあればその内容によりますが,定めていない場合にはここで述べた原則が当てはまります。どこまでの割合が使えなくなるのかはそう簡単ではない話になる可能性があります。

 ここで面倒なのは,2020年4月以降に新たに借りる場合(もちろん,契約書の内容を2020年4月に変える・更新時に変更することもありえます)には,少し話が変わってくるという点です。変わってくる点は何かというと,ご自身,つまり借りている側から家賃の減額請求をしなくても減額されるという点です。これまでは,減額請求をしたことを証拠で残しておかないと言った言わないの話が生じた点はなくなります。ただし,使えなくなった割合に応じてという話が残りますので,先ほども触れました物件の使い方によってすべて使えなくなるという場合には,そうした点を示して話し合いをする必要があるところは変わりません。
 結論から言えば,賃貸オーナーの出方次第によってはこれまでとあまり変わりません。

 ちなみに,ここでは賃貸オーナー側の都合による場合を取り上げましたが,実際には例えば物件の老朽化によって修理が必要になり,その修理で物件が使えなくなった場合にも当てはまります。

 割合をめぐる話は一部だけ使えないのかどうかが問題になるところでは面倒な話になりますが,これに対して,物件すべてを修理あるいは工事する等といった場面では特には問題にはならないでしょう。

○営業補償はどうなるのでしょうか?

賃貸オーナーは,物件を貸す場合には,物件を使えるようにする義務があります。一方で,物件に修理が必要な場合には原則賃貸オーナー側が修理をする必要がある一方で,テナントを借りているご自身はその修理に応じる義務があります。

 言い換えると,物件の修理が必要なために修理を行う,そのことによって物件を使えない場合には,ご自身はそれを受け入れる義務が出てきます。受け入れる義務があるということの意味は,それによって負担が生じても自己負担であるということで,言い換えると,この場合に営業補償を請求することはできません。
ちなみに,ここでの修理とは物件の利用に必要な行為を指しますが,実際にそうした場合に当てはまるのかどうかが問題になる場合も出てくるでしょう。

 これに対して,そうした物件に修理の必要性が生じたという場合ではない場面,賃貸オーナー側の都合によるその他の工事等によって物件を使えなくなる場合には,話が変わってきます。それは物件を使えるような状態にしておく義務を賃貸オーナー側は果たせなくなりますから,こうした事柄によって生じた営業補償については保証をする必要が出てきます。厳密には損害賠償となります。

 似た話は賃貸オーナー側から退去を求められる場合にも発生します。退去を正当化できるだけの正当な理由(例えば,物件が老朽化しているといえるだけの事情があり建て替えを行う)といった場合には,営業上損失が出てもその補償は賠償)を請求することはできません。ただし,実際にそうした正当な理由があるのかどうかが問題になるケースもありますから,吟味が必要になってきます。

 ちなみに,営業損失の補償(損害の賠償)を請求できる場合であっても,どこまでが損失(損害)といえるのかについて争いになることは十分あり得ます。単に減収分ということはできず,どのみち生じていた経費については損害といえない面もあるためです。そのため,請求ができるのかどうかという話とともに請求できる範囲も別に問題となりうるという点には注意が必要でしょう。

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