法律のいろは

2019年8月4日 更新損害賠償請求のご相談

事業所での事故と労災,対応の注意点

事業所での事故の問題は利用者・従業員それぞれででてきます

 介護・福祉業界では,利用者の様々な行動(暴力行為や暴言もあれば,いうことを聞いてくれない)等を発端として,従業員もケガをする・利用者の方にも嫌がられる行為が起きることがあります。この中には,腹を立てた従業員側も反撃をするということもありえます。いかなる場合も特に暴力行為は許されるものではありませんが,例えば,噛みつかれる・殴られる等があった場合には,利用者の方・従業員サイド双方でケガなどが生じる場合がありえます。

 

 また,そのきっかけや何があったかについて,言い分が双方で食い違うこともありえます。こうした場合に,事業所としては難しい対応を迫られることがあります。当然トラブルがあった際に利用者やその家族等にきちんとどういったことがあったのかの説明や場合によっては謝罪などを行うこと・事業所も賠償責任を負うこともありえます。

 一方で,利用者の側の行動について,事業所の側がきちんと対応方法を注意し,トラブルが起きないようにするべきであったとして,従業員側にも賠償責任を負う場合も出てきます。業務時間中の業務に関わる事故でのケガなどということになれば,労災という話が出てくることもありえます。

対応で注意するところ

 まずは原因が何かを早急に調査する必要があります。この際に聞き取りなどを行うことにもなりますが,人間の記憶力の問題もありますので,聞き取りはすぐに行うことが必要です。また,先ほども触れましたように,利用者の方・従業員双方で問題が出てくる可能性もありますし,一方的な決めつけをしてしまうと後で感情的な対立につながる可能性もありえます。

 

 こうした事から,聞き取りを行う際には,まずは話を聞き取り,そのうえで,客観的な状況と整合する話や矛盾する話・一致する点がどこか・他に目撃した方の話との一致点などをきちんと整理していく必要があります。特に,目撃したとされる方は第三者だから信用しやすいところですが,実際どの程度注意して目撃していたのか等を確認しておく必要はあります。その方自身も仕事をするなどしていたために,肝心な部分をきちんと見ていたかを吟味しないと中途半端な整理となってしまいかねないためです。

 

 こうした確認と整理を行ったうえで最終的な対応を決める必要がありますが,きちんと根拠とともに把握した事情を説明していくのは利用者の方と家族であっても,従業員側であっても変わらないものと思われます。どちらかに偏っている・話を聞いてもらえたか・きちんとした説明や対応をしてもらえたのかは,その後の話し合い等での対立状況にも影響を与える可能性があります。

 

 安易な説明や対応をせずに,双方との対立などの可能性も考えて対応していくことが重要になってきます。賠償責任を負うのかどうか・ケガなどが生じていたとしても,どこまでが因果関係があるといえるのか(例えば,事故やトラブルから相当時間がたってからの通院などの場合には実際にその時に負ったものなのかが問題となることもありえます)はそう簡単に判断できないこともありますので,保険に入っているから大丈夫だ(保険は適正な賠償の観点から,賠償責任を負う場合で・因果関係がきちんと認められる範囲での支払いになります)と簡単に判断することが思わぬトラブルにつながりかねない点に注意が必要でしょう。

 従業員側に対しても,みんなそうしたことがあったのに問題にするのはおかしいというのでは理解が得られない可能性もありますので,同様に注意が必要と思われます。

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