法律のいろは

2019年2月19日 更新損害賠償請求のご相談

借主の水の使い方が悪くて起きた漏水事故への対応は?物件や給排水設備の老朽化もあった際はどうなる?

借主の水の使い方が悪かった場合に起きた漏水事故への対応は?

 アパートその他の他人に賃貸している物件に修理が必要な場合の修理義務は大家側が負います。しかし,借主の方にも「用法順守義務」という,簡単に言えば契約で定めた適切な使い方をする義務があります。水を大量に使っているうえにわざと下の階に落ちるようにしていた・防水設備を設けることなく清掃用の水を大量に使うテナントがいた場合には,本来契約で予定されたのとは異なる使い方によって漏水事故が起きる場合もありうるところです。

 

 こうした場合,借主が被害をうけた方に損害賠償の責任を負うのは当然ですが,管理状況の問題によって通常有する安全性を欠くと評価されれば,大家も責任を負うことがありえます。最終的にはきちんと使っていなかった借主に損害賠償請求と契約解除を求めていくことになるでしょう。この場合,損害は修理費や被害者に与えた損害になりますが,特に被害を受けた方がご商売をされていた場合の損害については算定が難しい面があります。

 

 また,水漏れの原因をなくすような要望に従わない・同様のことを繰り返す・あるいは他のトラブル等もあるなど信頼関係が壊れているといえる事情もあれば,恵也悪解除をすることも可能です。ただし,信頼関係が壊れているといえるかどうかはあくまでも裁判の場での評価(これを見越して見通しを考えていく)になります。水漏れの程度が大きい等の事情があれば,それだけでも信頼関係破壊の評価につながることもありえます。損害賠償請求等が問題になるケースでは既にトラブルが大きくなっていることも考えられるので,弁護士など専門家にも相談のうえで対応を考えていくことになるでしょう。

物件や給排水設備の老朽化も進んでいた場合は?

 とはいえ,漏水の原因ははっきりしないこともあれば,様々な原因が関わっていることもありえます。特に建築から相当期間が経過しているアパートやビルなどでは建物や給排水設備が相当老朽化をしていることもありえます。こうした場合には,こうした老朽化した設備も漏水の原因となりうることもありえます。特に,借主の水の使い方にも問題があるけれども,こうした老朽化した設備も原因となりうる場合には話が複雑になってきます。

 

 まず,先ほど触れました契約の解除の関係では,その借主が立ち退きと契約解除を争ってきた段階で問題となります。その際には先ほども触れました信頼関係が破壊されたと評価できる事情があるといえるかどうかが問題になります。この場合には,実際に起きた水漏れの原因となる原因の一つは作っている可能性があるものの,大きな水漏れだとしてもその責任をその借主だけに求めることは難しくなります。一概に言えない点はありますが,こうした事情ゆえに,借主だけに水漏れの原因がある場合よりは信頼関係を破壊したとは言いにくいと考えられるケースは増える可能性はあります。

 とはいえ,水漏れが長期間に及ぶ・そのことによる被害の程度が大きい・老朽化よりも借主の使い方の問題がはるかに大きい・注意をしても直さない等の事情があれば信頼関係が破壊されたとは言いやすくなるでしょう。また,ここで述べた事柄のうちどこまでの要素があると信頼関係が破壊されたといえるかはケースごとによって異なってきます。

 

 次に,損害賠償請求についてですが,原因が競合した形になりますので,全ての負担を借主が負うとは言いにくくなります。厳密な原因が老朽化の方が大きいのか・使い方に問題が大きいからかははっきりしないこともありえます。少なくとも,ある程度は大家側も賠償責任の負担を負う(公平な観点から過失相殺と似たような考え方をもって調整をしていく形)ことはありえます。厳密にどの程度の原因がどちらのあるのかをはっきりさせるのは難しい場合も出てきます。漏水に至る経緯やルートなどを突き詰めてはっきりさせていくことになるでしょうが,そう簡単な話ではない点には注意が必要です。

お電話でのお問い合わせ

082-569-7525

082-569-7525(クリックで発信)

電話受付 9:00〜18:00 日曜祝日休

  • オンライン・電話相談可能
  • 夜間・休日相談対応可能
  • 出張相談可能

メールでのお問い合わせ

勁草法律事務所 弁護士

早くから弁護士のサポートを得ることで解決できることがたくさんあります。
後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。

初回の打ち合わせは、有料です。
責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。
初回打ち合わせの目安:30分 5,500円(税込)