法律のいろは

2019年1月19日 更新損害賠償請求のご相談

クレームの対応①

クレームはサービス改善につながる?

 よくクレーム対応によって,お客様の満足度を上げ・サービスの改善につながるという話があります。クレームは業務上の不注意やサービス・商品への改善提案を含むことも多いですから,こうした側面は多くあるでしょう。ただ,多く現場の従業員の方から困ったというのは,どのように対応すればいいのか難しいといった問題で,そのことが従業員の不満やトラブルが大きくなるという,そこまでは多くはない対応のクレームではないでしょうか。

クレームにもいろいろな種類があります

 やや抽象的ですが,クレームといっても

①サロン・店側のサービス対応等に至らない点があり,そのことを指摘して改善を求めてくれるもの

②サロン・店舗のサービス対応等に至らない点があるものの,度を越えた請求をしてくるもの

③そもそも落ち度があるとも言えないのに,要求を出してくるもの

 

が大きく言って考えられます。例えば,サロンであれば,指定されたよりもカットしすぎたケースやシャンプーや髪染めの際に薬剤で衣服その他を汚した場合や頭皮にダメージを与えた場合が①や②として考えられます。カットしすぎの場合の対応は難しいところがありますが,洋服を汚した場合にクリーニング料金を請求する・頭皮にダメージが生じた場合に実際にかかった治療費を請求する場合は①に該当するかと思われます。これに対して,慰謝料を払ってほしい・誠意を見せてほしいということでさらなる要求をしてくる場合には,②に該当することもありうるでしょう。

 これに対して,そもそもきちんとカットをしたし・洋服に何かしら薬剤をつけた形跡もなかったはずなのに,後日になっておかしいという話を言ってくる場合には,③のケースもありえます。もちろん,土下座を強要してい来る場合は②あるいは③に当てはまる可能性が極めて高くなります。

 

 従業員への負担を軽くするためには,対応ルールを決めておく(小さな店やサロンでは,アルバイト任せにせずにオーナー・店長が対応する等)ことや事実関係をよく確認しておくことが重要になってきます。もちろん,相手への対応にも注意が必要で毅然と対応するという点と相手に迷惑をかけた点についての謝罪の言葉のバランスには注意が必要です。

 最近は,インターネット・SNSでの情報拡散が簡単で,悪い評判として伝わりかねないリスクがあります。特にSNSを利用して集客をしている場合には,大きなリスクとなりかねませんので,こうしたリスクと要求されている事柄に応じることが前例として問題が出てくるのかをよく吟味する必要も出てきます。

賠償が必要な場合,どこまでが損害として妥当か注意をする

 仮に保険に加入をしていても,お客様(相手方)が希望するお金が保険から出るわけとは必ずしも限らない点には注意が必要です。保険金が出る範囲は,偶然の事故(業務上のミスなどもここに入ります)から生じたと評価できる範囲の損害になります。あくまでも,損害と一般に評価できる範囲ですから,お客様側が損害といったものが当然に保険金から賄われるわけではありません。

 

 例えば,洋服を汚してしまったケースで考えていきます。洋服を汚した場合にクリーニングでの染み抜きなどで対応が可能であれば,せいぜいがクリーニング費用が損害になります。ただし,必要と考えられる範囲ですので,クリーニングに出すなら汚れを取る以外もしてもらおうということでの料金は当然損害にはなりません。また,洋服の賠償として,新しく買い替える代金を払ってほしい(購入した際に払った代金のケースも考えられます)という話が出てもここまでが損害となるわけではありません。基本的には,汚してしまった服が汚れが生じた際の価格になります。ですから,購入してから時間がたった服の価格は相当程度低下します。

 また,洋服など物品の破損や汚損の場合は,基本的には損害に慰謝料は生じないと考えられています。そのため,思い入れのあるものだから慰謝料をといわれても,正当な損害とは言いにくい点に注意が必要です。

 

 先ほど少し触れました薬剤で頭皮にダメージを与えたというケースも通院の医療費やそれに応じた慰謝料(交通事故の基準は参考になりますが,あくまでもダメージの状況がどの程度であるのかを確認することになります)は考えられます。ただし,ダメージの程度などによって通院の必要がどの程度あるのかという点が大きく問題となることもありえます。

 

 このように,どこまでが正当な損害かという点には問題があり,安易に保険金で出るからと考えない方がいいという点はあります。一方で,経営判断として,上乗せ部分を支払うのかどうか(どこまで払うのか)を考えていく面もあり,判断が難しいところがありえます。

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