法律のいろは

2018年12月23日 更新損害賠償請求のご相談

インターネット上等での風評被害への対応

 現在,お客様の声以外にも様々な声が,「食べログ」やSNSその他インターネット上の掲示板などに記載されています。好意的な情報であれば問題ありませんが,敵意のある情報・事実に反した中傷などは今後の営業に影響が出てきます。

 また,営業のために事実に反した称賛の記事を載せた場合にも後でそうしたことが判明した場合には,問題が出てくることがありえます。

風評被害につながりかねない投稿への対応は?

 大きく分けて,こうした投稿(これには敵対的な方による誹謗中傷的な投稿とお店の方による事実に反した優良投稿の二つがあり得ます)への対応は二つあります。

① それぞれのサイトのガイドラインに違反した投稿であるということで,サイト運営者に削除を求める
② 法律上のご自身(お店・会社)の権利に基づき,削除を求める

 ① は,それぞれのサイト運営者による自発的な削除を求めることになります。
 そのため,削除はされないこともあれば,いつされるかはわかりません(ガイドライン違反が明らかであれば,早めに削除されることもあり得ます)。

 これに対し,②はサイト運営事業者に対するものもあれば,そうした投稿をした方を探り当ててその方に削除を求める場合もあり得ます、ここでは,法律上の権利に基づいてそうした削除が認められる話になるのかどうか問題になります。また,自発的な削除がない場合に問題になってきますから,場合によっては裁判での解決を探ることもあり得ます。

サイトのガイドライン違反に基づく削除要求とは?

 先ほども少し触れましたが,「食べログ」にしろ「Instagram」等のSNSにしても,それぞれ投稿のガイドラインが定められています。個別の話にはここでは触れませんが,そうしたガイドラインとともに,名誉棄損に当たるものや性的なものなどの不適切さが大きいもの・著作権を侵害している投稿などには削除を求められる措置が講じられています。

 それぞれのサイトの中にこうした措置を申し出るための対応がなされており,そこに削除を求める箇所はどこか(特定する必要があります)とともに,削除を求める理由(ガイドラインにどのように違反し,削除の理由となるか等)を証拠とともに示す必要があります。例えば,「あの店はひどい」「虫が入っている」というような場合です。
 こうした場合に,サイト運営側から削除の可否について連絡があることは通常ありませんが,疑義がある際などには連絡があることもありえます。

 いずれにしても,削除するかどうかはサイト運営側の判断となります。ちなみに,事実に反した優良な自店による投稿もガイドラインに反しているということで削除される可能性がある点には注意が必要でしょう。

法律上の権利に基づく削除の請求とは?

 先ほど触れましたように,ご自身あるいは自社の法律上の権利が侵害されていることを理由に削除を,サイト運営者あるいは投稿した方に求めるものです。

 このうち,後者は発信者情報の開示を求めたうえで行う必要があります。匿名で投稿されるのが通常ですが,どこでだれが発信したかは残されたIPアドレスなどを辿ることによって判明することがあります。そこで,こうしたものを辿る手続きを行って削除を求めていくことになります。こうした方法を使っても,どこの誰が投稿したのかが判明しないこともあり得ます。なお,開示の請求は名誉棄損などが行われた場合などしか使うことができません。

 ここでいう法律上の権利は主として名誉棄損に基づくものが中心です。営業権の侵害ということをすぐ思いつきがちですが,営業を遂行することの妨害への損害賠償請求は認められているものの,大半の裁判例ではこうした妨害を理由とした差し止め・削除は認められていません。会社であっても名誉棄損(社会的な評価が下がること)にあたる場合があることは認められていますので,どういった理由から社会的な評価が下がるといえるのか整理しておく必要があります。

 なお,自社にとっては公表してほしくない不名誉な話であっても,社会公共の利害に合致し事実である場合には法的な対応が取れないことがありますので,注意が必要です。

 また,名誉棄損は単なる評価や感想を示しただけのものには基本的に成り立ちません。こうしたものか,信用を下げる事実が書いてあるかどうかの判断は難しいことがあり得ます。例えば,「あの店の料理には虫が入っている。とんでもない店だ」と言えば,前者から事実が言えます。これに対し単に「とんでもない店」と書かれれば感想が書いてあるにすぎません。このように判断には難しい場合もあり得ます。

 実際に削除が認められるかは名誉棄損における社会的評価など人格的な利益を守るために削除が必要という場合になります。ただし,こうした点については裁判例上ハードルが相当高く,明らかに侵害があって削除が必要な場合などはそもそもガイドラインに基づく削除請求で対応されることが多くなってきます。このほか,名称利用や写真の利用が勝手にされている場合など問題となってくるケースは多々ありますが,対応に困った場合は弁護士など専門家に相談をしたほうがいいかもしれません。

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