法律のいろは

2023年10月30日 更新理美容・リラクゼーション

ヘアスタイルやその写真の権利関係やSNSでの投稿での注意点は?

著作権とは?

 ヘアスタイルやその写真(SNSの投稿用その他)は美容師の方あるいは写真の専門家が撮影をすることがありえます。知的財産権で保護される場合には,強い保護(削除や賠償請求等)が認められるので,どのような権利で保護されるかは重要な問題になります。

 ヘアメイクやファッションコーディネート(髪のセットや服装)は物品等のデザインではないため,基本的に権利が成立するとしても著作権になります。ただ,結論から言えば,著作権で保護される可能性は低いように思われます。それは,著作権で保護される対象(ここでは法律に挙げられている「美術」の著作物というもの)に当てはまるのかという問題があります。やや難しめの話なのでかなり簡単かつ大雑把に触れておきますが,美術作品のように実用目的と離れて美観の対象となるものが著作権での保護の対象と一般的に考えられているというのがここでの理由とされています。

 比較的最近の裁判例(知財高裁平成26年8月28日判決・判例時報2238号90頁)では,ヘアスタイルとは少し異なる点もありますが,ファッションショーにおける化粧や髪形・服やアクセサリーのコーディネートが著作物にあたるかどうか(当たったとして著作権の侵害になるのか)が争われたものです。結論から言えば,実用目的から離れて純粋な美的鑑賞の対象となり,美的特性を備えている場合には著作物になるという前提のもと,問題となったケースでは実用目的の物であってそれと分離して美的特性を把握できないなどとして,保護を否定しています。実用目的の性格があるものを著作権の対象とするかどうかにあたっては裁判例で述べている事項が異なるものはありますが,保護にはかなりのハードルがあります。

 

 ただ,著名な方の特徴あるヘアスタイルの場合には,パブリシティ権というもので保護される可能性はあります。こちらは,その著名な方の権利を守るという意味合いが基本となるものです。

サロンのSNSでのせているヘアスタイル写真の管理は?

 サロンの名前のアカウントを作成し,特定の従業員に管理してもらう場合に,そのアカウントの管理権限が誰にあるのか・掲載されている内容の権利が誰の物なのかはあいまいにしておくとトラブルになる可能性があります。独立や同業他社への移籍の場合きちんと合意をして行わないと競業なのではないか・写真等に著作権が成立する場合には誰が権利者か問題になりかねないためです。ちなみに,写真やブログやSNSに書いてある文章が著作権の対象になるかどうかはケースごとの事情によりますが,当然に対象にはならないこともありえます。これらは,著作物の要件を満たしていないといけないためです。例えば,ありふれた内容である場合には「創作性」がないという話になります。

 

 誰が権利を持っているのか・運営を任されている方の退職時にどうするか・その他を含めたSNSの運用のルールをきちんと決めて説明をしておく必要があります。厳密にすべての場合を網羅する必要はありませんが,投稿する際に載せる写真(モデルの方の同意を取っておく・他の方の撮影した写真を使わないなど)・動画撮影を行う場合に行ってはいけない行動(迷惑行為など場合によっては法的なトラブルに至るもの等)その他トラブルリスクが大きそうなものを抑えておくことは後でトラブルが起きてから対応するよりも効果があるものと思われます。退職を運営をしていた方が行う場面でもこれらの規定を定めておく,雇用契約で従うべき事項としておくことでコントロールができますし,退職時の話を円滑に進めることもできるものと思われます。

 

 

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