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法律のいろは

2019年4月18日 更新時事問題(法改正・最新の裁判例など)

施設を利用する会員向けの規約を作るにあたっての注意点は?

はじめに

 リラクゼーションサロンの経営をされている方の中では,サロン経営の他に,ボディメイクなどが出来る施設を併せて運営されている場合もあるでしょう。

 その場合,施設を利用する会員向けの決まり事をきちんと定めておき,トラブル発生を未然に防ぎたい・あるいはトラブルになったときの対応を決めておきたいということがあります。

 こういった会員規約を作るにあたってはどのような点に注意すればよいでしょうか。

 

約款について・約款とはどんなもの?

 上のような会員規約は,施設を運営する側が一方的に作成する,定型的な契約条項になりますので,約款にあたります。
 

 こういった約款が利用されている場合で考えられるのは,運送約款・保険約款・工事請負契約約款・宿泊約款など,大量の相手方が想定されるケースが一般的です。これらの場合,駅や事業所などに備え付けられているだけの旅客運送約款などのように,約款が契約の相手方に交付されていないこともあります。

 このような約款を作ることは,企業側からすればあらかじめ決まった契約条件で一律に処理できる・事務処理費用の節減・企業にとって有利な条項を盛り込められる(とくに免責条項を入れる場合)というメリットが考えられます。

 他方で,契約の相手方からすると,契約条件を合意で個別に決めるのではない、契約条件の内容がわからないままいつのまにか包括的な承認をする形で契約をすることになります。そのため,会社からすると有利な内容の条項を一方的に押し付けられてしまうというデメリットがあります。

 そこで,日常生活に大きくかかわる電気,ガス,水道などといった公共的な事業,独占的な事業については,事前の届け出、行政機関の許認可などが必要とされたり,行政庁が約款に記載すべき内容を公示して,その約款を利用する事業者には行政上の認可・届出は不要とする(標準旅行業約款、標準媒介契約約款など)などの各種規制がされています。

 しかし、こういった約款についての規制はあくまでも行政機関や特別な法律での規制にゆだねられていて,民法には規制の規定がないままになっていました。
     
   

改正民法ではどういった定めがされることになったのでしょうか。注意点は?

 今回の民法改正では約款についての規定が設けられることになりました。民法で定められるのは「定型約款」というもので,条文上の要件を満たした場合がこれにあたります。
    
 定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって,その内容の全部または一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう、以下同じ。)を行うことの合意(次条において「定型取引合意」という。)をした者は、
  ① 定型約款を契約の内容とする旨の合意をしたとき。
  ② 定型約款を準備した者(以下「定型約款準備者」という。)があらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき。

に,定型約款(定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。以下同じ。)の個別の条項についても合意をしたものとみなす,とされています。

 上記①・②をみたせば、定型約款の個別の条項を把握していなくても各条項に合意していたとみなされてしまい,法的にも拘束されることになります。
 とくに①についてみたしていない約款についてはみなし合意が使えないことになりますので,鉄道会社の運送約款のように備え付けられているだけで、交付していないときは上記に外れてしまうことになります。
 そこで,「民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」で鉄道営業法・電気通信事業法の改正をし、②について定型約款を定型契約の内容とすることをあらかじめ利用者に対して「公表」さえしていればよいとしています。

 こういった要件を満たす定型約款に不当条項があった場合,その条項に対しては合意が成立しないとされています。不当条項があったとしても定型約款全体が無効になるわけではありません。他の条項には拘束されるので注意しましょう。

 定型約款の変更については,一定の要件のもと相手の同意なしに一方的に可能とされています。具体的には,
 ① 定型約款の変更が、相手方の一般の利益に適合すること。
 ② 定型約款の変更が、契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、この条の規定により定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無及びその内容、その他の変更にかかる事情に照らして合理的なものであるとき。
 

 上記をみたせば変更の規定なくても変更できますが、規定があると変更が合理的かの判断要素になるとされているので、どういう場合に変更できるかも含め、明示的に設けておいた方がよいでしょう。変更については一部利用者のみの制限とならないように注意しましょう。

 変更した場合には猶予期間を設けて、同意できない場合には契約終了が選択できるようにしておくと、合理性が肯定の方向へ働きやすくなります。

 

まとめ

 このように,改正民法では定型約款という規定が新たに設けられます。注意点としては,

 ・まずは定型約款にあたるかどうか確認しましょう。
 ・みなし合意成立のための要件をみたしているでしょうか。
 ・約款に不当条項がないでしょうか
  (損害賠償の制限、サービス内容の不保証など・支払った対価とのバランスによる)確認しましょう。
 ・約款を変更できる条項があるでしょうか。

 これらに気を付けながら,ルールを整えていきましょう。

 

 

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