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法律のいろは

2019年1月9日 更新時事問題(法改正・最新の裁判例など)

所有者不明の土地活用へ法律・制度が変わる?~変更点のポイントを解説します~

 時折,報道で,誰のものかよくわからない土地を日本中で合計すると,九州の面積くらいあるという話が流れています。そもそも,登記制度があるのに,所有者不明なんてあるのかという気もするところです。今回,こうした土地の活用を目指すための法律の改正や発生を防ぐための相続登記の義務化の動きがありますので,触れていきます。

所有者不明の土地とは?

 簡単に言えば,登記簿をみても現在誰の土地かよくわからない土地・誰の土地か分かっても所有者とされる方と連絡がつかない土地のことを言います。特に故郷から遠く離れた町で暮らす人が増える中で,故郷が田舎にある場合の山林等利用価値のない土地はそのまま放置されることが多くなっています。

 日本では,相続が発生しても名義の書き換え(登記)の義務がないために,登記簿(名義)を見ても,大正時代に引き継いだ方がそのまま載っているような場合がありえます。登記簿(見れば誰が名義人か分かりますし,法務局などで手数料を払えば,誰でも見ることができます)を見ても,このように名義書き換えを長いことしていないと,もはや誰が所有者かわからなくなりかねません。

所有者不明の土地の問題とは?

 何かしらにその土地を使おうとした場合やその土地が原因で周りに迷惑をかけているようなケースでは,所有者に対応を求める等する必要があります。しかし,所有者が誰かわからない・連絡がつかないということでは,こうした対応がしにくくなります。

 このような問題に対応するには,何かしらこういった土地が利用できる仕組みを作る・所有者が誰かを今以上に調べられるような制度を作る・財産管理をできる場合を増やすということなどが対応策として考えられることになります。

法改正の概要とは?

 上のような問題内容等を踏まえて,現在の国会では「所有者不明土地の利用の円滑化などに関する特別措置法案」というタイトルで法律の改正が進められています。所有者不明の土地を地域で利用することで公の目的等での問題を解決して有効利用するために法律改正が進められています。

 その内容を細かに紹介するほどの紙面はありませんので,概要を以下触れていきます。重要な点は次の3点です。

① 土地を公が収用して利用,利用権を設定できるようにする

② 土地の所有者を探す手続きを合理化する

③ 所有者不明の土地を適切に管理する仕組みを作る

 いずれも,先ほどの課題と対応を踏まえてのものになります。これだけだとわかりにくいので,少し補足していきます。

 ① については,国や都道府県が事業認定した公共事業のために,所有者不明土地を収用する(国などが所有権を取得する)場合に,都道府県にある収用委員会ではなく,都道府県知事が裁定できるようにするものです。これまでも,法令に則って公の事業等のために個人の土地を取得する制度はありましたが,これを合理化するという内容です。

 このほか,都道府県が公益性を認定した・地域の方々の福祉などを高める事業のために,所有者不明土地を利用する必要がある場合,利用権を新たに設定できる制度が設けられます。手続きの細かな点は省略しますが,利用権は10年以内で設定され,所有者がその期間の途中で明け渡しを求めた場合でも期間終了までは利用でき,満了後に原状回復(利用の当初の状態に戻す,ただし時間の経過とともに通常生じる事柄は別)をして返すことになります。所有者が出てきても,異議がなければ利用権は延長することができます。所有者が明け渡しを求める場合には,当然所有者であることを証明する必要があります。

 次に②については,所有者が誰であるかを探すために,行政機関が必要な公的機関が持つ情報を互いに利用できる仕組みを作ること・長期にわたって相続登記がなされていない場合に,公側で長期間相続登記がなされていないという記録を登記簿でつけられることが大きな変更点です。

 ちなみに,報道で筆者が接したところによりますと,法務省の研究会で相続登記の義務化が検討されているとのことです。登記(名義書き換え)をする場合には,ご本人で登記手続きをする場合にも税金がかかりますし(固定資産税ではありません,固定資産税は市町村で名義書き換えをしていなくても納める人を調べて払うよう言ってくるのが通常です),司法書士の方に依頼した場合にももちろん費用がかかります。そのため,不動産の利用価値を見出さない場合には,登記(名義書き換え)がされないケースが多くあるように思われますが,今後大きく変更される可能性も出てくるでしょう。

 最後に③についてです。現在も所有者が不在の場合に,財産の管理をするための制度自体はあります。簡単に言いますと,家庭裁判所に管理人の選任を請求する(ただし,この請求申立の際に,お金の納付をそれなりの金額求められることが通常です)という方法があります。これまで,今述べたお金の問題や請求・申し立てをできる方が限定されていることもあり,活用には限界がありました。所有者不明の土地の一部を時効によって取得する場合等に選任請求をするのが代表的なものの一つです。

 今回の改正は,選任請求の申し立てを都道府県も行えるようにした点が大きなものです。これまでも,所有者不明土地に関する利害関係人(法律上の利害関係が必要)等が選任請求を申し立てられましたが,現状では特に公共的な利用の場合に限界があるということで,拡大を図ろうというものです。

 また,長期間放置されている土地については、所有権を放棄できる仕組み(所有権のみなし放棄)を新設する方向で検討されており、放棄された場合の権利がどこに帰属することになるかなどの整備が進められています。

今後どうなっていくのでしょうか?

 現在法律改正の動きとともに,今後どういった方向で所有者不明土地の対策を国としていくのか・いつ頃に何をしていくのかの議論がされています。先ほど触れた相続登記の話などや関連する専門家との協力を進めていく・土地所有者情報の把握などがしやすくするような戸籍の運用などの改善策が挙げられています。

 細かな話は省略しますが,次年度中に今回触れました法律の改正とともに,方向性を取りまとめる流れとなっています。2年後をめどに,実際の制度の改定を実施していく流れとなっています。

 記事の流れをご覧になって何となく感じておられるかもしれませんが,公の利用のために所有者不明の土地が妨害要因にならないようにするための制度改正という面が大きいです。ただ,影響は土地を持っておられる多くの方に及びかねない点がありますので,注意しておく必要があります。

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