今年(2018年)の7月に働き方改革の推進に関連する一連の法案が成立(法律の改正)がされました。
いつから変わるのかは,その法律によりバラバラですが,早いものでは来年(2019年)の春から変わるものもあります。現在,こうした法律の改正に合わせて国の審議会などでは議論がされており,ここ数年間で反対意見があるものの,働き方の改革(時間短縮や人手不足の対応・生産性向上だけではない面もあります)が進むのではないかと思われます。
労働政策基本方針が定められる方向に
タイトルからすると固くとっつきにくい印象がありますが,簡単に言えば働き方改革の「方針」ともいえる内容です。そこでは,一人ひとり働く方が能力を有効に発揮できるようにすることを目標として働き方改革がされるという話が現在準備されています。ちなみに,ここでは中小企業での人材確保を行うために進めていこうという話もあり,小さな会社だから全く関係ないという話ではない点には注意をしたほうがいいように思われます。
具体的な課題として挙げられているのは,勤務時間の短縮やストレスチェックの強化その他の過労死の防止・セクハラ,パワハラなど職場のハラスメントの防止や最低賃金などの引き上げ・過労死の話とも関連しますが,メンタル不調その他を防ぐための保健機能の充実などが挙げられています。
先ほど中小企業での人材確保を目標としているという点を挙げておきましたが,助成金の活用その他援助体制を作るという話も特に書かれていることや運送業(トラック運送など)等なかなか変更が難しい状況のある業種での個別の問題を踏まえての対応も言及されているところです。
今後各業種での話がどのように進むかは,運送業や建設業・医療機関など特に今後個別にどのように改革を進めていくかを決めていくとされていた業種では重要なものになるものと思われます。
「自己保健義務」はどこまで考慮されるのでしょうか?
この言葉も難しいところです。簡単に言えば,従業員の方も自分の体調は自分で管理をし,メンタルや体の不調ができるだけ起きないようにする・起きそうであれば会社に申告する・不調が大きくならないように管理をする等いわゆる自己責任に言及したものです。
これまでの過労死その他の裁判の中では,請求する側(従業員側やその家族)の落ち度(過失相殺と呼ばれます)として考慮されるかどうか・会社側の安全環境の整備監督義務が果たされていたのに生じたことといえるかといった点で問題になっていたように思われます。
健康診断や相談・ハラスメント環境・長時間勤務があれば,会社の側が尽くすべき義務を尽くしていないという風に言われる可能性が高くなります。
あくまでもこうした環境が整っていることがある程度の前提になる点には注意が必要です。もちろん,従業員側が適切な健康管理をせずにいた部分は考慮されるべき点ではありますが,こうした義務が容易に認められるわけでもない点を考慮して,健康管理の意識を従業員に持ってもらうことが大きな意味を持ってくるように思われます。
以上は,非常に多岐にわたる働き方改革(概要は以前のメルマガで記載をしています)のうち,今後の方針として議論をされていることのほんの一端です。これからの動向に注意をしていきたいところですね。