法律のいろは

2018年2月22日 更新残業代・賃金

裁量労働制に関する問題(その③)

「企画業務型」裁量労働制とは?

 最近報道で,「裁量労働制」に関する議論が聞かれます。前回のコラムでは「専門業務型裁量労働制」の話を触れました。法令で指定された種類の仕事に関して,一定の時間働いたものとして扱うという内容でした。これに対して「企画業務型裁量労働制」は,専門性のある種類の仕事ではありません。

 法令上は,「事業の運営に関する事項についての企画立案調査分析の業務であって」「業務の性質上遂行するにはそのやり方を従業員に大幅に任せるしかないために,仕事の仕方や時間配分の決定などの具体的な指示を雇い主側が具体的な指示をしないもの」とされています。こういった業務に適切に関わる知識や経験などを持つ従業員に適用されるとされています。

 

 先ほどの話では何が該当するのかはっきりしません。行政側が出している指針では,該当する業務と該当しない業務を挙げています。該当しないものを挙げた方がわかりやすいと思われますので,その例を紹介しておきます。

 ①経営に関する庶務に関する業務②人事記録の作成等・給与の計算や支払い・各種保険や採用研修に関する業務

 ③金銭の出納・会計帳簿の作成監理・税金の申告や納付・予算や決算の計算等の業務

 ④広報誌の校正等の業務⑤個別の営業活動など業務⑥個別の製造作業・物品の買い付けなどの業務

 

 対象となる業務(上記は対象とはなりえない業務とされています)に関して,法律で定められた一定の手続きを会社側で行ったうえで,個別の従業員の方との雇用契約で項目を盛り込む・就業規則に項目を盛り込むことで機能します。

「高度プロフェッショナル」労働制とは?

 現在議論されている「高度プロフェッショナル」労働制のすべてを紹介することはできませんので,以下では相当の概略な内容を記載しておきます。この制度には,一定の年収を超えてている方で職務範囲が明確・高度な職業能力を持つ方について,労働時間の規制を外すという内容が含まれています。この話を設ける内容のほかに,先ほど挙げた裁量労働の対象(企画裁量型裁量労働制の見直し)を拡大するかどうかが現在議論されています。拡大は,「課題解決型の提案業務」「裁量的にPDCAを回す業務」を加えるというものです。

 

 労働時間の規制が外れるということは,残業に関する規制も及びませんので,いわゆる残業代(時間外勤務・深夜勤務・休日勤務の割増賃金)は出ないことになります。制度の案としては,働きすぎ防止の措置を会社側が講じるようにする・従業員の健康確保措置を会社側が取るようにするなどの内容が含まれています。また,最低限与えるべき年間の休日数も設けられる予定のようです。

 制度を設けるには一定の前提が要求され,最終的には適用対象となる従業員の方の書面による同意(同意がないことでその従業員に不利益な扱いをしてはいけない)という項目が設けられています。

 

 今後の議論がどう進むのかという面が現時点ではあります。注目していきたいところですね。

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