法律のいろは

2017年8月20日 更新残業代・賃金

解雇と退職勧奨の違い(その②)

解雇と退職勧奨の違いが問題になる場合とは?

 解雇か退職勧奨かが問題となるケースは,退職を促す際の発言が一方的と捉えられることによって実際は解雇ではないかといわれる場合です。解雇の通知は事由を含め書面で行う慣行があればいいですが,実際にはそうではなく口頭でなされることや,退職勧奨のつもりが従業員の方との話し合いの場で言い合いとなってしまい,「来なくてもいい」という言動が現れてしまう場合には問題となりかねません。

 

 解雇は,会社側の一方的な医師によって退職してもらうこと・退職勧奨は,退職するかどうかは従業員が決めるもののそれを促すことですから,やり方などによってはどちらなのかが問題となってきます。どちらに当たるかで何が変わるかという点ですが,解雇の場合には法律上・裁判例上厳しい規制があります。その詳細は別のコラムで触れている点ですが,解雇できる事由として定めているものに該当するか・解雇という方法をとることが社会的に見て相当かという点です。人手不足である反面,採用面やその後の対応の問題から,こうした問題に至るのは避けたいところですが,問題が大きくなるのは避けていく必要があります。

 こうした規制をクリアできない場合には,従業員側から従業員であることの地位の確認や未払い給料の請求などを受けるリスクがありますし,裁判などで認められる可能性があります。もちろん,実際には職場復帰が事実上難しいため金銭での解決という場合はありますが,こうしたリスクがある点は無視できません。

実際に解雇があったかどうか問題となったケース(最近の裁判例から)

  それでは,比較的最近の裁判例の中から,解雇があったのかどうかが問題になったケースを取り上げていきます。ちなみに,結論としては解雇ではなく自主退職であったという判断がなされています。

 

 問題となったのは,屋外広告や看板製作などを営む会社に雇用された従業員の方が解雇されたかどうか等が争いになったケースです。ちなみに,このケースでは,会社側は不当な解雇をした等の理由で損害賠償請求などを受けたケースになります。従業員は支店での勤務をしていましたが,その運営などから会社側と対立が生じ,「不信感を持ったので退職する」等の概要の連絡が従業員側から会社になされていました。その後,その支店閉鎖へと向かう中で,退職届の送付が会社からなされました。そうする中で,従業員側から「不当解雇」であるから適切な退職勧奨を望む・会社側から「退職申し出に応じただけ」「退職勧奨でもなく解雇でもないから,支店閉鎖後は本店に来るように」との連絡がなされていました。

 その後その従業員に関する勤務条件のやり取りがなされたようですが,結局は従業員が退職し裁判になったというのが概要のようです。

 

 ここでは,こうしたやり取りの中で解雇(このケースではそもそも退職を何かしら会社側で勧奨したかも問題となったようです)と評価できる事柄があったのかどうかが問題になりました。

 このケースでは,各種のやり取りの内容・文言ややり取りのなされた時期をもとに事実認定を裁判所が行い,評価を示しています。そこでは,従業員側からの連絡でも自主退職をうかがわせるものがあったこと・会社側も従業員側から解雇日といわれる日よりも前に解雇や退職勧奨はしないと連絡していることなどをもとに,会社から一方的に退職を求めたとはいいがたい(解雇とはいいがたい)と判断をしています。

 

 こうしたところからも,後でトラブルになることを防ぐのであれば,解雇でないのであればその旨の明示などをはっきりしておいた方がいいでしょうし,解雇であればその有効性の検討も重要になってくるでしょう。

 

 

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