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法律のいろは

2017年6月6日 更新残業代・賃金

長時間の時間外勤務を内容とする固定残業代・手当を雇用契約に盛り込むリスク(無効と判断した裁判例の紹介)

 残業代請求で問題となる固定残業代制度

 残業代で雇用契約で定めた何時間分の残業に対応する手当等という固定残業代の有効性が争われるのは以前何度か触れました。そこでは,想定よりも残業が多くなった際の清算の仕組みがあるのか・何時間分の残業に対応するのか等残業部分とそれ以外の勤務の部分に対応する給与の判別ができるかが大きなポイントとなってきました。

 

 その一方で,ここ数年は長時間の残業を想定した残業代の手当の制度について,その有効性を問題とする裁判例が出ています。今回紹介する裁判例はここ数年の間の裁判例ですが,結論から言えば有効性を否定し,残業代の支払いが一部なされたなどの会社の反論を退けています。この場合には,こうした手当は残業代の計算に加えることになりますから,残業代が逆に増えてしまいかねません。

 このように,有効性が否定されれば何のために制度を設けたのかという話にもなりかねません。現状,一部そうした裁判例が見受けられるだけであって最終的にどういう判断で統一されるかははっきりしません。ただし,せっかく定めても裁判手続きで争われる煩雑さがあるのであれば,そうしたリスクを知っておく点には意味があるかと思われます。

 長時間残業を内容とする手当の合意を否定した裁判例の存在

 問題となったのはショッピングセンター内で食品などを販売する会社で「店長」として勤務していた方が,会社に対して残業代などを請求したものです。問題になった点は多岐に渡りますが,その中には実際の勤務時間の長さ(タイムカードに押された時間を勤務時間とそのまま言えるのか)のほかに一部の残業は固定残業代によって支払われたのかが問題になりました。後者の話はこうした制度が有効かどうかということで争点となりました。

 以下では,長時間残業に対する残業代を支払うという制度の有効性に関する点のみを触れます。

 

 このケースでは,月83時間の時間外勤務(残業)に対して,管理者固定残業手当という名目で10万円が付き支払われるという記載が書面にあったため,この合意の有効性が問題になっています。従業員側は,

・いわゆる36協定に関する通達や過労死の基準に比べて非常に長い時間の勤務になることを根拠に,公序良俗に反する

・会社側の反論からすると,月83時間の残業はないというのであるから,勤務時間と関係のない手当てである。そのため,残業への手当てとは言えない。

 から無効であると主張しています。

 

 これに対して裁判所の判断では,先ほどの理由づけをおおむね認めています。後者については,そもそも想定されていた店舗の閉店以降の残業が想定されていないなどの会社側の反論を踏まえて,想定されていない残業への残業代の合意は存在しないと述べています。前者の話が,合意が無効であると判断しているのに対し,合意の存在を否定しています。もっとも,結論としては,残業代を支払うという手当は効力を持たない点では同じです。

 

 この裁判例では,会社側から勤務時間中に事由に休憩できた時間がある・業務の暇な時があって仕事をしていない時間があり勤務時間に含まれないという主張がなされています。しかし,判決ではいずれも退けられています。業務中の繁閑などがあるのであれば,それに応じた管理が必要であることを示しているものと思われます。

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