法律のいろは

2016年6月19日 更新残業代・賃金

割増賃金(残業代)の採用をする場合に注意するべきトラブルとは

 最近は,ある程度の残業を見越して,予め残業代(時間外割増賃金)を給料に組み込んだ給料体系を採用している会社もあるかと思われます。こうした給料体系に関して,有効性が争われたり,給料そのものについて認識が違うことでトラブルになるケースもあります。

 

 このうち,固定残業代というこうしたシステムの有効性については,このコラムでも以前触れましたが,裁判例は最近でも多く存在します。その有効性については厳しいことを述べている裁判例も存在するところです。有効性の詳細については別の機会に触れたいと思いますが,簡単に触れておきますと,残業代部分と通常の給料部分の区別がつくこと・想定している残業代がどの時間までであるのか・想定している時間を超えた時間外労働(残業)が生じた場合の清算などの仕組みを作っておくことが必要になるでしょう。

 

 そもそも,新規に採用をする場合に,給料面での説明をしないでおいた場合には,後でもめるリスクが高くなります。固定残業代部分を含めての給料を提示する場合には,それがある程度の時間外労働の給料(残業代)を含めたものであることを説明しておかないと,後で残業代はどうなったのかなどのトラブルにつながりかねません。いわゆるサービス残業などあるところですが,こうした点でいちいち後でもめていることが割に合うのかどうかの検討は必要と思われます。

 先ほどのケースのような固定残業代の有効性が問題になるケースには,残業をしているはずなのに残業代が支払われない・支払いを求めたところ,既に支払っているといわれ納得できずにトラブルということも十分考えられます。特に最近はインターネットなどで情報収集ができる点があり,後でおかしいのではといわれて大きな問題になるのは避けたいところですね。

 

 また,一部の業態では,深夜のアルバイトの方に,深夜労働の手当てを含めて支払いをしている給料が最低賃金を下回っていたということで問題になったというニュースもありました。これは,深夜労働手当を含めていれば最低賃金を上回っているものの,それを除くと最低賃金を下回る給料しか支払っていないというものです。

 最低賃金を下回っている場合には,法令違反の問題が大きくなりかねませんので,あくまでもこうした手当を含まずとも最低賃金を上回る給料の支払いが必要であるという点の理解は重要になります。給料はどういう形がトラブルが少ないかは専門家に相談しておくのも一つの方法です。

 

 このほか,管理者の扱いをしている方,残業を見越してに多く給料を支払っていても,実際の残業時間から見て給料が少ないような場合には,時間外労働についての残業代の支払いがない「管理監督者」に当たらないこともありえます。どういった対応がいいかは,注意が必要なところです。

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