法律のいろは

2014年7月31日 更新残業代・賃金

残業代とは何でしょうか?(その④)

 残業代の問題で,問題の一つになるのが,残業かどうかです。残業といえるためには,基本的には法定の労働時間を超えて勤務している必要があります。ただし,所定の勤務時間以上に働けば,割増賃金が払われるとの決まりが会社であれば,話は別です。  

 復習ですが,労働時間とは,難しく言えば,会社の指揮命令が及んでいる(と評価するべき)時間のことです。休憩時間とは正反対の言葉ということになります。前回は,いわゆる居残り残業とか仕事の持ち帰りについて触れました。今回はその続きです。  

 外回りの営業時従事している場合,どこまでが労働時間なのでしょうか?会社へ出勤してから,外回りに営業する場合を考えてみます。この場合,出勤までの移動時間は仕事に従事しないといけないわけではありませんから,労働時間ではありません。退勤してからの移動時間も同じです。これに対して,営業で外回りの移動をする時間は,普通道草をくうことなく真っ直ぐに移動することが求められています。仕事に拘束されている時間といえますので,労働時間に入ります。  

 これに対して,営業先へ直行直帰する場合はどうでしょうか?この場合,営業先にアポイントがあっても,その時間まで時間をどう過ごすかの事由があることから,直行時間は労働時間には入りません。直帰時間についても同じように考えられます。  ちなみに,外回りの営業については,労働時間を考えるうえで,もう一つ大きな問題があります。それは「事業場外みなし労働時間」の適用を受けるかどうかという問題です。詳しくは,いずれ触れたいと思いますが,会社は従業員の勤務時間を把握する義務があります。ただし,会社の外で働く場合には,状況によっては会社が勤務している時間を把握することが難しいこともありえます。こうした場合に,実際働いた時間の把握を会社がすることなく,所定労働時間働いたものと例外的に扱えるというものです。この扱いには,仕事の内容によっては所定労働時間で行うのは難しい場合の例外(例外の例外です)があります。  

 このことが問題になるのは,実際に働いた時間に関係なく所定労働時間働いたと扱える可能性がでてくるため,残業がなくなる可能性が出てくるためです。適用の範囲が広がると,当然残業が出てくる可能性は減ります。そのため,大きな問題の一つになってきます。  

 これと同じように出張先への移動時間・出張先からの戻り時間も考えることができます。直行・直帰にあたるのであれば,出勤・退勤のための移動時間と同じように考えるのに問題はありません。これに対し,出張後に会社によった場合はどうなるのでしょうか?  

 この点については,次回に他の話とともに触れていきたいと思います。

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