法律のいろは

2018年3月31日 更新労働問題のご相談

マタニテイハラスメントかどうかが問題になったケース

マタニテイハラスメントとは?

 ハラスメントの相談は統計上も非常に大きな相談です。ここ数年「マタハラ」という言葉をよく聞きます。正式名称は「マタニテイハラスメント」,簡単に言えば,勤務従業員の女性が妊娠出産に伴う休み(仕事を軽くしてもらう)ことについて嫌がらせや不利益等を受けることとされています。ここには直接入りませんが,いわゆる「産休」の後に「育児休暇」をとることもあり,そうした場合に同様の事柄が出てくることがありえます。

 

 ここ数年裁判例でも問題となっています。法律上は,男女雇用機会均等法という法律の中で,妊娠や出産(これに伴う法律上の請求をしたことで解雇や不利益を与えてはいけない・育児休暇については,育児休暇(いわゆる「育休」)を取りたいと請求をした・取得したことを理由に解雇や不利益を与えてはいけないという決まりがあります。

 問題となるのは,何かしらの不利益があるのかどうか・それが妊娠や出産あるいは育児休暇の取得が原因なのか・違反があるとして許容の余地があるのか,違反はどうなるのかという話です。

問題になったケース

 数年前に報道もされていましたが,病院などを運営する法人で介護業務を行う女性が降格(一応同意はありました)が,出産等に伴い負担の軽い仕事に仕事内容を法人に変えてっもらったケースで,降格が問題にされたケースがあります。最高裁で判断がされ,こうしたケースでは,妊娠や出産などによる不利益を与えるものだから,ここでの対応は法律上無効となるのが原則であるとしています。

 例外として,

 ・その女性の同意があり,他の事情から見て自由な意思での同意であると認められること

 ・そのままの運営が法人の業務に大きな支障を与え,その女性の不利益と比べて降格などをして法律の規制の意味が失われないこと

 という後半は分かりにくい点もありますが,大きなハードルを設けています。

 

 そうなると,先ほども触れた何か氏らの不利益が従業員に与えるとして,産休等の取得かどうかが問題になったケースがあります。ここでは育休の取得の話も問題となっています。簡単に言えば,産休や育休を取得して職場復帰する際に,仕事がない・給料などが大きく下がる仕事を会社から示された際に,その原因が何かという話です。産休と育休の後での不利益(不利益かどうかが問題となるケースも考えられます)を与えられてはいるものの,その原因は何かという話になります。

 結局は,後付けの理由かどうかという話になる点であり,裁判所は,他の理由を産休や育休の前にないことを認識していた・認識していたと評価できる場合には,後付けの理由にすぎないと考えると判断しています。こうした点は,産休や育休の前の人事評価や注意指導があったのか等を考慮していくことになります。

 

 必要な人材の活用をどう図っていくのか,休暇などの取得がなされた場合に,どう対応をしていくのが会社の士気や雰囲気の維持・リスク面への対応でいいのかは,こうした点を踏まえて考えていく必要があるでしょう。

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