法律のいろは

2018年3月7日 更新労働問題のご相談

飲食店その他で外国人を雇用する際の注意点

在留資格活動を超えた資格外活動になる就労をさせることのリスク

 最近(2018年),飲食店チェーンで,雇用している外国籍の方を長い時間就労させたことで,入管法(正式名称は長いので,この略称を用います)に違反したとのニュース記事が載っていました。ここでいう問題点と雇う側の問題点・注意点に何があるのでしょうか?

 

 一部の業種でみられる留学生その他の外国籍の方が,日本に滞在するには「在留資格」が必要で,その資格でできる活動以外の仕事をさせた(資格外活動)場合には,入管法違反による刑罰等の罰則を受ける可能性がある点です。

 これは,その外国籍の従業員だけでなく,就労をさせていた会社・雇用主にもリスクがあるという点・雇用主側の免責は知らなかったからという話が簡単には通らないという点です。その従業員の方が在留資格の取消しその他の事情があれば,従業員の人手不足も生じますが,それを超えた問題が出て来うるといえます。

  在留資格の多く(いわゆる身分系の在留資格や永住者は例外)は就労制限がかけられています。資格外活動として働くには個別の許可か包括的な許可が必要です。包括的な許可(在留資格「留学」等)では皿洗いなどの単純労働も可能ではある反面,1週間当たりの勤務時間の制限(自社以外の勤務も含む)があります。この制限は原則として1週間のどの曜日から計算しても28時間以内で,この制限を超えて働かせた場合には,「不法就労」を助長したということで法律上の責任を問われる可能性があります。複数のアルバイト先でアルバイトをしているケースでは注意が必要です。また,いわゆる風営法の適用を受ける事業所での業務など制限がかかっているものもあります。

 また,こうしたリスクは報道などによる風評リスクにつながりかねない点にも注意が必要です。通常は,雇入れ時に在留資格を在留カードで確認していると考えられますので,その在留資格では勤務できない仕事をさせていた・先ほどの時間制限を超えて働かせていたといえる場合には,先ほどのリスクが出てきます。

 こうしたことがあっては,人手不足を補うことができなくなります。ことに,アルバイトで留学生(在留資格が「留学」であるケースも多いかと思われます)を雇用しようとすることもあろうかと思われますが,就労は学校の休み以外の期間でも1週間28時間・休みの期間でも1日8時間までであることには注意が必要です。いわゆる36協定があるから時間外労働をしても残業代が発生するという問題とは別の問題でありますから,労働時間の管理は厳格に行い時間がオーバーしないようにしておく必要があります。

 

 こうした事柄以外にも在留期間を超えた方を雇用することにも同様の問題が発生しかねません。その在留資格ではできない仕事をさせることも同様です。この場合には不法就労になり,自社が刑事的な処罰や店名の公表を受ける可能性があります。特に,小さな店ほどこうした仕事も多くこなす側面がありますので,注意が必要ですが,チェーン店展開をしている会社でも変わりはありません。日本での在留資格では単純労働に就労させることへの制限が多く,就労系の在留資格では予定された性質の業務以外の業務(特に単純作業)については違法な資格外活動になります。例えば,在留資格の中に「技術・人文知識・国際業務」と呼ばれるものがあります。この資格の場合には,たとえば,配膳やレジ打ちその他補助作業を専らさせるということはできません。一時的に忙しい場面でさせることはできますが,あくまでも人文知識や翻訳等高度な業務を営むためのものであって,実態が補助作業メインとなっていると刑事事件としても立件を受けることになります。この在留資格については学歴や実務の経歴面の要件(業務との連携が必要)がありますので,申請・採用の場面できちんとチェックをしておかないとそもそも不正な在留資格の取得に関与したというトラブルが起きる可能性もあります。

 

 雇い入れの際の在留資格の確認とともに,行っている仕事の状況や時間管理などをきちんと行うことが必要です。在留資格の確認は実は違っていたということがないよう在留カードその他の書類の原本をきちんと確認して行うことが必要です。他の会社は気にせずやっているという状況があったとしても,それは単に問題が発覚していないにすぎず,発覚した場合には会社にダメージになる点は変わりません。継続的にきっちりと売り上げをあげていくという点の考慮が重要になってきます。

人材ごとにどの在留資格が必要でクリアする点は何かの確認などが重要

 先ほど触れました「留学」や「技術・人文知識・国際業務」以外にも,飲食店の関係でいえば,外国料理を扱う場合には経営者や店長には在留資格「経営・管理」が必要になりますし(一時的に調理などの管理などの活動と異なるものがあっても,経営や管理の一環といえる限りは問題ありません),外国料理の調理師は在留資格「技能」が必要など,その人材によって必要となる在留資格がことなります。それ添えの要件となる事項(「経営・管理」では継続的な事業基盤などが必要ですし,「技能」では提供される料理の種類(熟練した技能が要求されるものであるのかなど)が必要となりますので,事前のチェックは不可欠です。実務経験などを書類でのチェックや偽造などではないかの確認も重要になってきます。

 もちろん,これ以外にも例えば,新設された「特定技能1号」の中にも外食分野(レストラン・テイクアウト・配達など)や飲食品製造分野(セントラルキッチン勤務等)というものがあり,細かくクリアすべき要件が設けられています。この在留資格の場合には,定められた業務ごとの技能熟練度のクリアやそもそも事業所ごとの分野などのハードルがありますし,労働法令の遵守が基準としても設けられています。ちなみに,他の在留資格についても労働法令の適用はありますので,他の在留資格の人材を選択することで規制逃れができるわけではありません。なお,外国人技能実習は直接外食に当たるものがない点(一部で特定技能への移行の可能性があるものがあります)

 

 自社で必要な人材がどのような方か・そのために必要な在留資格は何か・ハードルをクリアできるのか・その関係でそもそも日本人の従業員で足りるものなのかなどを確認する必要があります。一部の在留資格では業務制限がないものもありますので,その点の考慮や海外から招へいするのか・日本にいる方を雇用するのか(在留資格の変更が必要なのか・必要ならクリアするのか)をよく考えておく必要があります。勤務形態も実質正社員(フルタイム勤務)の方について,社会保険その他の問題が日本人同様に問題になることもあります。賃金台帳などの管理が杜撰である場合には,日本人と同じく労働基準監督署からの指導がありえますし,民事上もトラブルになる可能性もあります。在留資格「特定技能」の場合には,受け入れ自体出来るのかどうかという話が出てきます。労務管理面での注意は日本人と少なくとも同等に問題となります。

 アルバイトとなると「留学」等包括的な資格外活動許可があれば,定まった時間内であれば単純作業を含めて仕事をしてもらえる点はメリットです。労働法令上の点だけでなく,入管法の規制のクリアなど時間管理を自社だけでなくきちんと行う点の煩雑さを含めて何がいいのかをよく検討する必要があるでしょう。

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