どういったトラブルがあるのでしょうか?
起きるであろうトラブルとしては,同僚同士のトラブル・利用者や親族とのトラブルのほかに,管理者や経営層とのトラブルが考えられます。また,利用者に対するトラブル行為がありえます。双方ともにパワーハラスメントや喧嘩による暴力事件その他が考えられます。
パワーハラスメントには,厚生労働省の指針によると,暴力・暴言・いじめ(人間関係からの訴外)・過大な業務上の要求・過少な業務しかさせない・私生活への過度な立ち入りが挙げられています。職場の上司からしかないと考えがちですが,職場上の有利な立場があれば生じるとされますので,同僚であっても先輩後輩その他職場での力関係から有利といえる場合には,生じる可能性があります。
ハラスメントを放っておくことで,その後適切に対応していないことが問題になる可能性もあります。他方で,雑な事実確認や行き過ぎた対応をすると,加害者扱いをした側からその点をとがめられることもあります。きちんと調査をして対応が何がいいかを考えておく必要があります。
利用者に対するトラブルとしては,いわゆる虐待行為等の加害行為があったのではないかという場合が生じうることです。障がいを持った方に対するものは,障がい者虐待防止法に,虐待とは何かとともにその内容が定められています。この法律自体はサービス提供者以外の方も加害者となりうる点を想定していますが,ケガを負わせるなどの暴行・放置・経済的虐待・性的なものなどです。ひどいケースではニュース報道がされていて,事実確認や対応を取っていないことで処分や報道による不利益を受ける可能性があります。その他賠償請求等を受ける可能性もありえます。利用者に対する職員・スタッフの問題行為があるかどうかの確認や把握ができる状況にしておくとともに,対応をどうするかをきちんとしておく必要があります。
対応と注意点とは?
管理者等の職員と職員との間のトラブルには,いわゆるパワーハラスメントというものが含まれる場合があります。サービス管理責任者など経験やスキルがある方にとっての当然と思う話と,特に業界未経験の方の対応できる範囲には違いがあります。ここを無視して運営されていて,行き違いが大きくなった場合には,一方では問題社員がいるからどうしようという問題・他方ではパワハラ行為の存在と対応の問題が出てくる可能性があります。
暴言や暴行,過大な業務要求はパワハラになる可能性はあるものの,事実関係としてどうなのかの確認がまずは重要になっていきます。
また,職場の人間関係を考えての対応等もきちんととる必要があります。人材確保の側面と労務問題ということもありえます。安易にパワハラと決めつけられない反面,裏腹な話として,問題社員という決めつけも安易にはできないという面もあります。事実の確認きちんと行うこと・そのうえでの対応(出勤停止などの対応まで取る必要があるのか・注意で足りうるのか)のリスク面も考えてみることが必要になります。
問題行動が確認できたから,すぐに処分することは改善などを促す点ではメリットがある場合もありえますが,行き過ぎの行為などは処分が無効になる可能性(それに伴う給与などの請求を受ける)があります。したがって,事実確認とそれに基づく対応をきちんと行うことが必要です。
これとは別に,利用者に対する加害行為(上で触れた虐待行為)があるのかどうかが問題になります。事実関係を確認するとともに,それに応じた対応が必要になる点は職員同士の場合と同じです。処分などが必要な場合も事実関係によってはありえます。利用者・職員スタッフ双方との関係が問題になるので,慎重に対応しておく必要があります。
明らかな勘違いその他は利用者側とのトラブルになる可能性があり,職員スタッフの疲弊が強くならないように対応をする必要があります。これに対し,何かしらの問題行動がある場合にはきちんと把握したうえで対応とともに,障碍者虐待防止法等により求められている報告も行う必要があります。グループホームではなく,通所サービスでも同様な問題は起こりえます。
面倒なのは,スタッフに対して利用者が好意を抱き,それに対するスタッフの対応が性的虐待になるのかという問題があります。事実関係によって性的虐待といえるかどうかは異なるものの,当然に虐待になるのかどうかは吟味しておく必要があります。
虐待についての研修は業界内で様々なされているところではありますが,こういう悩ましい場合の対応を含めた事業所としての対応をきちんと詰めておく必要があるでしょう。事実確認などをきちんと行う方法や態勢を整理しておくことも重要です。