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法律のいろは

2017年4月29日 更新労働問題のご相談

従業員が退職する際に,誓約書を取り交わした競業避止の合意の効力が問題になったケース(その②)

 以前,従業員が退職した後の競業禁止を定めた誓約書の効力が問題になったケースを触れました。そこでは,どういった仕事をするのかという点自由に対する制約の程度や態様・代償措置があるのか・制限の必要などを考慮して判断するという枠組みが使われていました。今回は,退職前に会社と競合する仕事をしていけない・退職後にも競合する仕事をすることに制約を加える就業規則や退職時の誓約書の効力が問題になったケースを触れます。

 

 問題になったケースでは,ある商品の開発等に関わった従業員が,退職前・退職後に会社とその商品に関して競業を行ったことを理由に,損害賠償請求と退職金の返還などを求めたものです。争点は多いので,ここではある程度簡略化して紹介します。その会社では,退職前・退職後に機密情報や業務上知りえた競業を会社の許可なく行ってはいけないという概要の就業規則上の定め及び退職時の誓約書がありました。また,その従業員は早期退職制度に応募しており,その制度に関する定めでは,懲戒事由として会社が定めた事項に該当する場合には早期退職はできない(本件では,無許可の競業が懲戒事由に該当します)との定めがあります。早期退職制度では,普通退職金に上乗せされた退職金が支給できるという定めであると裁判所の判断では認定されています。また,問題となった商品は特許出願がなされ,商標登録されたという経緯があります。

 

 このケースでは,会社側が退職前から,その従業員が会社の顧客との取引行為などを内容とする競業を行っていたことを理由に,早期退職の定期用除外であるからという理由で早期退職を撤回しています。また,これによって早期退職はできないのだから早期退職によって得たお金は返還すべきとして,その他損害賠償請求とともに請求をしています。

 

 従業員側から,競業に関する規定の無効・競業には当たらない等の反論がなされており,こうした点が争点となりました。裁判所は,競業に関する定め(就業規則・誓約書)が有効かどうかについて,在職中のものは有効と認めたうえで,退職後の点については

 ①問題となった商品が特許出願や商標登録された事情やノウハウなどの防止を目的とした点は保護されるべき

 ②退職した従業員が開発などに関わり,そうしたノウハウなどをよく知っていたことや営業能力が十分あったこと等からすると,競業を防止する必要性が高い

 ③制限される競業の範囲は,機密情報や業務上知りえた競業ということで一応限定されている

 ④早期退職による割増退職金等が競業制限への代償として支給されている

点を考慮して有効であると判断しています。

 

 そのうえで,競業に当たるのかという争点については,起業する・他社への入社を通じて競業を行うこと,競業する事業を行う他社の利益になることを行うことを含むと判断しています。このケースでは同じ商品を販売する他社の販売等に関して積極的な役割を果たしたと認定しています。こうした競業避止義務違反によって早期退職制度の適用を受けないことを理由に主に割増退職金額部分の返還を命じています。

 

 このケースでは,一応の限定ということで競業の範囲を述べていますが,相当弱い点であると考えられます。また,早期退職制度に応募した際に支払われる早期退職金が競業の代償措置と評価されていますが,あくまでも早期退職者であれば支給されるというものであれば,競業制限の代償なのだろうかという点には問題が生じる可能性があると思われます。今後の裁判例でどのように考えられるかははっきりしませんが,代償措置という点については早期退職の場合を含めどのような制度設計であればリスクが減らせるかをよく検討する必要があるでしょう。

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