ここ最近は、日本人の労働力不足が言われており、業種によってはそこそこの賃金の提示をしても求人への応募がされない、といった悩みも聞かれます。また、逆に仕事柄高度な日本語を使える人材に来てほしいと居たケースもあるでしょう。そういった場合、どのような方法で外国人の方を雇用するようにすればよいでしょうか。またその場合の注意点を取り上げます。
外国人労働者にも職業安定法、労働者派遣法などが適用
特に安価な労働力を、という位置づけで外国人の方を雇用しようとする場合には違法なブローカーを通じての募集でないかを注意する必要があります。労働者を照会する、ということになると、法律上職業安定法や労働者派遣法の帰省に該当しないかの注意が必要になります。
求人や求職の申し込みを受けて、求人をする企業と求職する者との間での雇用契約の成立をあっせんする場合は職業紹介事業にあたるとされています。この場合は一定の場合(届出制になっている場合)を除き、無料でのあっせん、有料のあっせんとわず許可制とされています。有料職業紹介の場合、高度外国人材や特定技能の外国人などが対象になります。団体管理型技能実習での実習実施者と技能実習生との間の雇用関係成立のあっせんは実習監理の方に含まれるため、有料職業紹介の許可では取り扱えないことになっています。他方で、有料職業紹介では、港湾運送の業務、建設業務についての職業紹介は法律上行えません。そのため、特定技能であっても建設分野の場合は一般の有料職業紹介事業者が有料職業紹介の対象とできない点には気をつけておく必要があります。無料職業紹介であれば上記のような制限はかからないことになります。
また、労働者を供給する契約に基づき、他人の指揮命令の元労働者を働かせる場合は労働者供給事業とされます。これについては原則として禁止と扱われています。
自分が雇っている労働者を、その関係はそのままで、他人のところでの指揮命令の働かせる場合は労働者派遣事業にあたります。この場合は、派遣元の会社の資力などが必要とされており、許可制になっています。
ですから、外国人の労働力を提供する事業者が、そもそも無許可で職業紹介をしていたり、労働者供給事業にあたるようなことをしていたり、無許可で労働者派遣事業をしているところであれば、そういったところから紹介を受けて雇うことはできないということになります。
したがって、特に職業紹介、労働者派遣事業の場合は許可を受けているのか確認をする必要があります。
なお、労働者派遣では、港湾運送業務、建設業務、警備業務、医療機関における医療関係の業務については禁止されていますので、従事する業務が何になるか注意が必要です。
職業紹介といえば、日本の場合基本的にはハローワークになりますが、ハローワークであっせんをしてもらう場合、国内で就労資格を有する外国人に対して、在留資格に応じた職業紹介をしてもらえます。外国語通訳も配置されていますので、会社でどういった能力を持つ人材が必要なのか、ハローワークに希望などを伝えて、見合った能力を有し、在留資格もある外国人の方を紹介してもらう、というのも一つでしょう。
不法就労にならないよう必ず在留資格を確認
特に外国人の方を雇用する場合には、必ず在留資格を確認することが必要になってきます。それというのも、職種を問わず就労が認められている在留資格はかなり限られているからです。すなわち、「永住者」「日本人の配偶者」「永住者の配偶者等」「定住者」のみとされています。また、「留学等」の資格の場合でも、あらかじめ資格外活動の許可を得ている方であれば、就労することが出来ますが、週28時間以内という制限がありますので、他で働いていないかなどの確認が別で必要になってきます。
それ以外の在留資格の場合には、取得している在留資格に沿った業種に従事する場合でなければ、入国管理局から就労を認められた範囲を超える就労とされてしまう・あるいはそもそも就労許可のない外国人にあたる可能性があるため、そういった方を雇っては働かせると不法就労にあたるとして事業者も刑事罰を科される可能性がありますので、注意が必要です。
賃金の支払には最低賃金法に反しないか注意
また、安価な労働力として外国人の方を雇用する場合、たとえその外国人の方があらかじめ同意をしていたとしても最低賃額に達しない場合は最低賃金法に違反することになります。最低賃金については、都道府県ごと、特定産業ごとに賃金の最低額が取り決められており、広島の場合は2020年現在871円です。そのため、賃金をいくら支払うか取り決める際には最低賃金がいくらかの確認もする必要があります。