法律のいろは

2016年6月29日 更新労働問題のご相談

外国人を雇う際の注意点

 近年様々な形で外国人を雇い入れることが多くなっています。外国人は少なくとも日本国政を有していませんので,労働基準法をはじめとする日本の法律が適用されるのか・また在留資格の関係で何か注意するべき点があるのかなど問題となる点は多くなります。今回は,その一部を取り上げてみたいと思います。詳細は別のコラムで取り上げていますので,ここではごく簡単な点のみ触れておきます。

 

まず,日本国内で外国人を雇う際に問題となるのは,在留資格です。これはいわゆる入管法で規制をされています。問題となるのは,法律上外国人の日本国内での滞在やそこで行うことができる活動が規制されているためです。法律では,短期滞在と呼ばれる観光等一定の目的で短期間日本にいることになる場合(在留資格,このチェックは中長期の在留資格に比べると簡単なものとなっています)以外に中長期の滞在を目的とした在留資格があります。こうした在留資格には,身分,地位に基づく在留資格・活動に基づく在留資格があります。このうち前者は,永住者や定住者・日本人の配偶者等が該当するものですが,日本でつく仕事などに資格に基づく制限はありません。これに対して,後者については制限がかかります。在留資格ごとにできる仕事の範囲が決まってくるというものです。

 個別の在留資格に伴って,就労が可能な範囲とできない範囲が決まるもの,個別の許可に基づき就労可能な範囲とできない範囲が決まってきます。留学など一部の方には就労可能な範囲の仕事を原則限定しない(ただし時間制限はあり)形での就労を認める制度も存在します。中長期の滞在で就労が認められる在留資格は複数存在します(ここでは詳細までは紹介しません)が,その範囲を超えて就労活動を行うことはできません。また,原則として単純な労務作業につくこともできません(ただし,留学生などの包括的な資格外活動許可を得た場合は別)。できない業務につくことは,その外国人材の方にとっても不法就労になる(ペナルテイあり)になるとともに,雇用している側にもペナルテイが発生することもあります。

 さらには,永住者を除く在留資格には在留期間が存在します。この期間を超えてしまうと不法就労になりかねません。

 

 まず,労働基準法は,日本という場所で適用されるものですから,外国人に関しても適用があります。そのため,外国人だからどのように扱ってもいいというわけではありません。労働時間や給与など様々な法律による規制があること・違反への制裁などの存在はここでも無視できません。労働基準監督署など行政による様々な措置がどのような意味を持つのかはいずれ触れますが,ここでも同じく問題になるところです。外国人だからという理由で給料を安くすることはできませんし,同じく解雇をすることもできません。

 ことに技能実習生の方については過去労務その他の問題が発生したこともあり,法改正がなされていますし,特定技能という平成30年の入管法改正で新設された在留資格には労働基準法以外の社会保険や労災等の法令順守義務を雇用する側に課しています。

 

 

 こう言った点がありますから,雇い入れなどを行う際(外国人材を現地から招へいする場合・日本にいる方を採用する)には,在留資格は自分の会社の事業を満たしているか・在留期間に問題はないかという点の注意は必要となっていきます。仮に,在留資格がない・仕事と在留資格が合わない等の事柄があった場合には,罰則があります。また,雇い入れや離職の際に在留資格などは届け出の義務があり,うその内容を届け出た場合にも罰則はあります。

 仮に,今後仕事にあう在留資格を取得する・在留資格を延長するという話が前提にある場合には,予めこうした点の取得がない限り採用を取り消す約定を入れておくなどの対応は必要と思われます。

 

 在留資格を喪失した・在留期間を更新できなかったという場合に,雇用契約を継続することには問題がありますから,こうした場合に雇用契約を終了できるように,事前に雇用期間の満了に関しても合意をしておくことが必要です。

お電話でのお問い合わせ

082-569-7525

082-569-7525(クリックで発信)

電話受付 9:00〜18:00 日曜祝日休

  • オンライン・電話相談可能
  • 夜間・休日相談対応可能
  • 出張相談可能

メールでのお問い合わせ

勁草法律事務所 弁護士

早くから弁護士のサポートを得ることで解決できることがたくさんあります。
後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。

初回の打ち合わせは、有料です。
責任をもって、担当者が真剣にお話をきかせていただきます。
初回打ち合わせの目安:30分 5,500円(税込)