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法律のいろは

2020年5月20日 更新労働問題のご相談

職場で新型コロナウィルスの感染があった場合の対応や注意点とは?

はじめに

 先日,業務に関連して新型コロナウィルス感染したとして申請されている全国の39件あまりのうち,2件について労災を認めたとの報道がありました。詳細については明らかではありませんが,今後緊急事態宣言の解除や各種休業要請の緩和等により、今後も仕事に従事する中で新型コロナウィルスに感染するリスクは否定できません。そこで,今回は新型コロナウィルスに従業員が感染した場合の給与等も含めて、職場で新型コロナウィルスの感染があった場合の対応等について取り上げます。

新型コロナウィルスに感染した場合,従業員の給与の支払は?

 労働安全衛生法や感染症法で指定された感染症の場合,感染症の分類により都道府県知事が入院勧告や就業制限の措置を取ることができると定められています。旧来型の季節性のインフルエンザやノロウィルスは指定されていませんが,今回蔓延している新型コロナウィルス(COVID-19)の場合,感染症法の「指定感染症」に指定されたことから,感染した従業員に対して就業制限が出来ることになりました。そのため,会社は従業員が実際に感染したことが判明したときには,給与や休業手当を支払う必要がなくなることになります。ただ,実際のところは通常の有給休暇制度を使って休んでもらう,あるいは会社の制度として就業規則で有給の病気休暇の取得が出来る制度があわれ,そちらを利用して休みを取ってもらうこともできます。

 なお,従業員が感染した疑いがあるという場合には「帰国者,接触者相談センター」に相談しても継続的に就労できると思われますが,万が一の感染拡大を防ぐため自主的に休んでもらう(自宅待機してもらう)場合には事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない、とは言い難いので休業手当の支払をする必要があります。感染した従業員と濃厚接触したと思われる従業員を自宅待機させる場合にも,やはり休業手当の支給が必要となります。

仕事に従事している中で従業員が新型コロナウィルスに感染した場合は?

 今回報道された場合のように,従業員が仕事に従事する中で感染した人と接触する割合が高い医療従事者については,厚生労働省も仕事以外での感染などが明らかな場合を除いて,原則労災と認める方針を示しています。またそれ以外の仕事に従事する方の場合でも,客と近づいたり接触することが多い場合などは、感染経路が分からなくても個別に判断するとしています。
実際に労災の支給対象になるには,仕事中または通勤途中が原因で発症したものであることが必要です。具体的には厚生労働省で,
① 感染から発症までの潜伏期間・症状などの医学的に妥当であること。
② 業務または通勤における感染機会や感染経路が特定されていること。
③ 業務以外に感染源や感染機会が認められないこと
といった判断要素を提示しています。

 前述の通り,感染経路が分からない場合であっても労災を認めるという柔軟な対応を取るようですので,②の感染経路の特定はある程度緩やかに考えると思われ,職場でのクラスター発生以外でも認められる余地はあります。ただ,実際のところは通勤途中での発症と思われる場合は,感染機会がはっきりしないといえることから,労災の認定にはハードルがあります。
また,今後業務以外でも買い物や食事などで外出する機会があれば、市中感染の可能性があるし、家族と同居していて家族からの感染がありうるのであれば、因果関係の証明が困難になります。そのため,職場でクラスターが発生した場合でも他に感染する機会などがあれば③を満たさないこともあるでしょう。

 労災が認められない場合であっても,病気休業中に従業員とその家族の生活を保障するために設けられた傷病手当金の支給申請を,従業員から健康保険組合などにすることができます。治療のため仕事ができなくなって3日を経過して以後,直近3カ月の給与所得の合計額を,仕事をする日数で割った金額の3分の2が支給されることになっています。傷病手当金については,感染疑いの場合でも利用ができます。

職場で新型コロナウィルス感染者が出た場合,会社の責任は?

 職場が接客を中心とした業務である場合,例えば美容室などサロンでクラスターが発生したときには,たとえ感染した従業員が労災申請をして認められる場合でも、従業員から損害賠償請求される可能性があります。特に労災の場合,休業補償が6割ないし最大で8割支給ですから,全額カバーされない上,新型コロナウィルス感染により被った精神的苦痛に対する慰謝料は支給対象になっていないからです。

 この点,労働契約法という法律では,会社が従業員の生命,身体等の安全を確保しながら労働できるように、必要な配慮をする,案縁配慮義務があるとされています。厚生労働省は5月になってから,新型コロナウィルス感染症専門家会議からの提言を踏まえ,「新しい生活様式」を公表しており,「働き方の新しいスタイル」として,テレワークやローテーション勤務,時差出勤でゆったりと,オフィスはひろびろと,会議はオンラインで,などとしています。この内容を踏まえて,業種ごとの感染拡大予防ガイドラインも関係団体ごとに作成されており,担当省庁のホームページで公開されています。

 人と直接接触しての接客になるエステサロンについては,別途日本エスティック機構等がガイドラインを定めています。特にエステサロンの場合,サロン内が原則密閉空間になることから特にこまめな換気を求めています。また,密集・密接となる場面も多いことから,予約についてはお客様が近距離になりすぎないよう配慮を求めたり,器具や用具等について使い捨てのものに変更するか,消毒を徹底することが必要などとしています。店舗内の衛生管理については日本エステティック研究財団発行「エステティックの衛生基準」に基づくサロン内の衛生管理の徹底を求めていますので,こちらも参照しましょう。

 また,感染への不安から予約のキャンセルをするお客様も出る可能性があるため,キャンセル料をどうするか(無償にするか、通常より低額にするか,通常通りとするか)事前にサロン内で検討しておく必要があります。またコースの契約の場合,休業や時間短縮営業にしている場合はサービス利用についての対応の仕方,中途解約の申し入れがあったときの対応など、サロン内で共有・確認しておきましょう。こういったガイドラインを参考にしながらサロンで必要な対応を取っていく必要があるでしょう。

 ガイドラインを参考にしながら会社として取れる限りの対応をしていたにも拘わらず,感染者が出てしまったという場合には,そもそも会社が安全配慮を怠っていたというのはいえないものもあるでしょう。
 さらに,従業員が感染したとしても,サービス提供等の業務と感染などとの間に因果関係が必要になります。これは先の労災認定の場合でも同じことがいえます。
 

客がクラスターの感染源だった場合は?

 公共施設や一部の施設では営業再開後,入館・入室する際に検温や体調についてのチェックリストへの記入を求めるところもあります。ただ,こういった注意を払っていても,無症状感染者の方もいることから,完全に感染のリスクを防げないところもあります。こういった場合,顧客に対して会社が被った損害の賠償を求めることが出来るのでしょうか?

 特に無症状の方の場合には,意図的に新型コロナウィルスを他人に移そうとして来たとはいえないことから,たとえその方の接客により従業員の方が感染しても賠償を求めるのは難しくなります。少し前にあったPCR検査を受けて要請反応が出ており,新型コロナに感染しているのを知りながらわざと感染させやすくするような行動をとったことで,従業員などが感染した場合などに限られてきます。

 またそのような場合でも,サロンが被った損害額がどこまで認められるかも問題になります。例えば,サロン内の建物の消毒が必要になった場合にかかった費用,休業を余儀なくされた場合に休業せざるを得なくなった期間の売り上げに相当する額(当然経費は除く)は認められうるでしょうが,風評被害により来店者が減少した場合は,感染者が出たことと損害との間の因果関係がどこまで認められるかが難しいところがあるでしょう。

 新型コロナウィルスはまだ終息しておらず,今後も治療薬やワクチンの開発等の目途が立たない限り,現状が当面続くことになります。経済活動を来ないながらも引き続き詩型コロナウィルスの感染が拡大しないように注意を払う必要があり,何かと負担になってきますが,これまで書きましたことも頭に入れて頂きながら営業して頂ければと思います。

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