法律のいろは

2020年4月23日 更新労働問題のご相談

労基署からの監督や規制はどのようなもの?どう対応すればいい?

労基署による監督内容や指導とは?

 雇用関係は契約により進められる民間の話ではありますが,行政からの監督や規制を受ける分野(状況や内容によっては刑罰もかかわる話になります)です。そうした行政の監督や規制などを行う機関の一つに労働基準監督署(以下,「労基署」といいます。)があります。ここは,法律で決まっている規制を守っているか(行政による規制や監督を行うものとして定められる分野です)を監督するとともに労災などの申請を受け付ける機関です。勘違いしやすいところですが,具体的な給料や残業代の請求を巡る民事の争いや退職などをめぐる民事の争いに関わるわけではありません。

 こうした規制の及ぶ分野は多数存在しますが,例えば,36協定がないのに,させること自体が違法な残業が存在する・最低賃金を満たさない給与の支払い・労災隠し・上限を超える時間残業が存在するかどうか等があります。

 

 こうした監督や規制を行う分野について,調査を行い違反があれば指導や勧告を行います。問題となるのは,調査や指導・勧告がどういう性格のものなのか,どこまで協力あるいは従う必要があるのか,従うなどしないとどのような事柄に至るのかという点になります。どういった分野の監督などを重視するのかは行政側の方針により決まりますが,こうした分野での監督等は強化されるものの,監督などの指導は重点分野にとどまりません。

 監督指導の方法は,抜き打ちでの調査や連絡をした上でやってくるもの・呼び出しをするもの等あります。定期的な監督者調査(調査に基づき実態把握の上,指導監督などを行うことになります)・災害等の際の監督指導・従業員からの労基署への申告があった場合に行われる調査や監督(残業に関する事柄などの場合)があります。

 このうち,定期的な監督調査は間隔が決まっているという意味ではなく,あくまでも行政側の計画に基づいて行われるもので,先ほど触れました重点分野について問題の可能性がうかがわれる(これまで退職者が多く,労基署への申告者がいた・違反が何度もあった・残業時間として定められている内容が長い等の場合)場合には頻度が増える可能性もあります。

 

 上記のような調査に基づき,労基署側で法令違反(行政による規制の対象となる)を認めた場合には,是正勧告書・指導票が出されるケース・施設や設備などの安全対策上の問題がある場合には使用停止などの命令書が出されるケースがあります。 

 このうち,是正勧告書は,行政指導といわれるもので,指摘をされても従う義務が法律上はないものです。かといって無視してもいいのかというとそういうことはなく,後のペナルティにつながりかねないものになります。

 指導票は,特に違反はないけれども注意をしてほしい旨求められるという程度のものです。これに対して,最後の命令は法律上従う義務が出てくるもので争う手段も存在します。

 

 

指導などの内容とその対応は?

 監督指導は調査に基づいて行われます。そもそも,この調査に応じる必要があるのかという点がありますが,結論から言えば応じる必要があります。ここでの調査とは,例えば,労働条件通知書や雇用契約書・労働者名簿・賃金台帳・タイムカード・出勤簿・従業員の健康診断結果個人票等の書類の準備を求めてその確認後に聞き取りなどを行う・会社に実際来て安全設備や事務所などの状況を確認する等のものがあります。

 

 これらの調査は法律により行われており,そこでは応じる義務があるとされています。違反には刑罰などのペナルティが存在します。そのため,書類の提出を拒む・会社に来ての調査を拒むことはできません。また,事実と異なる話を言う・書類を提出することも同じようにペナルティが存在します。そのため,仮に書類の確認などをするために時間がかかるとして,結局は確認などのために時間をもらったとしても書類の提出は必要となりますし,立ち入り調査を拒むこともできません。

 この調査で得られた資料は,将来仮に違反に対するペナルティにつながりうる刑事手続きの中でも証拠として使われる可能性があります。

 

 次に先ほど触れた是正勧告書について触れておきます。先ほども記載しましたように,直ちに従わないから不利益な話になるわけではありません。ただし,違反自体には刑罰などのペナルティが科せられると法律で定められており,本格的な捜査などの刑事処分による処罰へと向かう可能性があります。

 また,必ずしも法令の根拠その他があるとは限りませんが,違反について会社名とともに公表される可能性があります。刑事処分の場合には公表に加えて報道されることも予想されます。違法行為を行う会社という話を公にされることによる風評被害は無視できませんし,今後人の確保の側面で問題が生じることもありうるでしょう。

 

 最後に自主点検というものが存在しますが,これ自体は何かしらの処分などにつながるものではありません。むしろ,点検の結果を今後の対応に生かす形になろうかと思われます。事前に問題点を把握して改善点を考えておくことで,実際に調査や指導が来た際の対応もしやすくなります。

 こうした事項への対応(調査の際の立ち合いも含めて)に弁護士など専門家への相談や立ち合いを求めることも対応方法の一つになるでしょう。

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