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法律のいろは

2020年4月22日 更新労働問題のご相談

経費その他を給与天引きすることの問題とは?業務委託の場合は?

○給料からのお金の天引きは違法

 契約でも変更できない法律上の決まりとして,給料は全額を現金で渡さないといけないという原則があります。言い換えると,現物支給や天引きは基本的には出来ないということです。このほかに,違約金を差し引くということはできません。そのため,一部見られる「罰金」という名のペナルティでの給与天引きは違法と言うことになります。ここでの違法は,こうした天引きをしていた会社に刑事罰によるペナルティを与える形をとるもので,その意味は大きくなります。
 ちなみに,「業務委託」という名前,この名称を使って仕事をしてもらう形は色々ありますが,そうであっても実態が雇用(指揮命令を受けその対価を受け取っていると評価される場合)には,ここで述べた話は当てはまります。そのため,建設業や美容業での面貸し等についてもあてはまる可能性のある話となるでしょう。

 

 それでは,その従業員の同意書をあらかじめもらっておけば大丈夫かという話が出てきます。この回答として,同意書を取っておけば問題がない場合もあるという話が言えます。従業員の権利保護のための禁止措置なのだから,問題がないはずという考えも出てきます。ただし,裁判例上はこの権利保護を重視していて,様々客観的に存在している事情から従業員が自由な意思で同意をしていたといえて初めて,こうした天引き(厳密には従業員が会社に支払うべきお金と会社から支払う給料を相殺する)することを有効としています。

 言い換えると,そうした相殺に同意をするだけの事情が必要となります。従業員が業務中に会社の備品を壊して賠償責任を負う範囲について同意をするだろう状況が存在すれば,有効となるでしょう。会社のお金を横領した場合に,一部を最後の給料で相殺するという場合も同様です。業務中に従業員が会社の備品を壊した際に当然に全額を賠償しないといけないとはされていませんから,こうした点も同意の有効性を考える上では重要になってきます。

 従業員の福利厚生のために使われる互助会費や慶弔費を差し引くのは同意をする合理性が一般にありますので,実際は全く使っていなかったり,こうした費目として機能していなかった場合を除き,同意は有効となるケースが多くなるでしょう。

 

 仮に個別に同意書を取っていく際にはこうした点も意識をしておいた方がいいでしょう。言い換えると,通常同意をしないような経費の負担を従業員に求める形の相殺の同意や社会保険料全額の負担を従業員に求める形の相殺同意は,通常従業員がこうした事柄に同意をするとは考えにくいですから,無効となる可能性が高くなります。無効となると,会社としてはこうした金額の請求を受けた場合に支払いをしないといけなくなりますし,労働基準監督署からの指導や場合によっては刑事罰の制裁を受けるリスクが出てきかねません。以前報道されていました、保険会社の代理店のケースでは同意書があってもこちらに該当する可能性もあり得ます。

 このほかに,事業場(会社内すべてではなく職場単位と考えて頂いた方がいいでしょう。もっといえば営業所単位とも言えます)での従業員の過半数を代表する方と会社との間で,天引きに関する協定をしていれば,天引きは有効となります。ただし,会社側が選ぶ方をこうした代表として協定をしているケースが多いかと思われますが,こうした方が実際に従業員代表として選ばれたのかどうかが問題となるケースもありえます。また,協定は役所への届け出は不要ですが,形式上協定があれば何でも控除が可能となるわけではありません。これが許容されると協定を要求した意味がなくなるからです。

○業務委託でもこうした規制にかかるの?

 先ほども触れましたように実態が雇用と評価されればこうした規制はかかります。先程は指揮命令とその対価を受け取っていればという話をしました。

 少しわかりにくいですが,1社専属で,その会社から仕事の指示が重要部分でなされている場合,実際上時間拘束や場所の拘束がある,仕事で使う物品の支給を受けている等様々な事情を考慮して,実際は雇用と言えるかどうかが判断されることになります。単に確定申告をしてもらっているから問題ないとは言えないということには注意が必要でしょう。

 判断が問題になるのは,先ほどの法令違反で行政からの指導等が問題になるケースや未払い金の請求を受けるケース・労災が問題となるケース等が代表例と言えるでしょう。こうした話はフリーランスと形式上言える場合を含め様々問題となってきます。そのため,実態がどうかをよく注意しておく必要があります。

 

 

○歩合給外交員の場合の給与・勤務時間についての注意点

 別に外交員その他外回りの営業の方に限りませんが,いわゆる完全歩合給と言っても最低賃金(最近は上昇傾向にあります)を充たすように給与制度を作らないといけませんし,基本的には勤務時間の把握を会社側で行う必要があります。残業が生じれば,残業代を払う必要があります。

 歩合給の場合の残業代の計算には通常の給与と異なる点がありますし,ごく最近の裁判例でも問題となっていますように,歩合制の場合は勤務時間と連動を本来しないものであって,どういった残業代の計算システムにしていくかはよく検討をしておく必要があるでしょう。

 ちなみに,勤務時間の把握は今後従業員の健康管理のために必要となる面はありますし,基本的には勤務時間の把握義務を会社は負っています。唯一「事業場外みなし」制度の適用を受ける場合は別ですが,この場合は外回りのうえに勤務時間を把握できないだけの事情が必要となります。会社が業務報告を細かく求めてどこでいつ何をしていたかの概略をつかめる場合には,勤務時間を把握できるという評価につながりますから,注意が必要でしょう。

「事業場外みなし」制度は営業の方以外にも送迎の仕事をあちこち回りながら行い,営業所に戻ってこない方・在宅勤務の方等問題となる場合は様々ある制度です。
 このように,完全歩合給だから労働法の制約を受けないということはなく,業務委託だから問題ないとは簡単には言えないことをよく考えて,業務の展開を考えておく必要があります。そのことが,余計なコストにつながる可能性がありますから,ここは大きな点と思われます。

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