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法律のいろは

2016年5月27日 更新労働問題のご相談

退職後も守秘義務をかすことはできるのでしょうか(その②)?

 前回,会社で使っている情報を退職後に持ち出された場合に義務違反が認められるのかという話を触れました。今回は,最近の裁判例で,勤続中に得た会社での業務データを退職後に第3者に渡した件で,会社から元従業員に対して,損害賠償請求をしたケースについて触れていきます。

 

 問題となったのは,別の元従業員のために顧客への業務提供に当たりかかった時間や時間単価などが記載されたデータを持ち出した件について,損害賠償義務を元従業員は追うのかという点です。

 

 その根拠として,会社から業務上の秘密を洩らさないことと記載された就業規則の存在・退職後もこうした規定は当然に効力を及ぶのか・退職までに情報を持ち出して,退職後に第3者に渡した場合どうなるのか・問題となる情報は,業務上の秘密に当たるのかなどが争点となったものです。

 

 結論として,会社側が損害を証明できなかったため,請求は認められていませんが,業務上の秘密を義務に反して持ち出した点は認められています。

 

 このケースでは,業務上の秘密の持ち出し禁止に関する就業規則の定めが問題となった従業員の方の在職中に置かれるようになったため,こうした規定が適用されるかが問題になっています。少し複雑な点がありますが,義務違反を認められた会社に関しては認められています。

 

 そのうえで,退職後に第3者に手渡した場合でも,そのための情報の持ち出しを在職中に行っていれば,持ち出し自体が退職後の手渡しを予定していますので,全体として就業規則の義務違反になると評価できるとしています。この判断の前提として,特に契約上の条項などがない場合には,退職後に業務上の秘密保持の義務は課すことができないという判断が前提にあります。

 

 そして,持ち出した情報が「業務上の秘密」に当たるかどうかを判断しています。この裁判例は,営業秘密(不正競争防止法)を参考に,一般に入手できないものか・有用なものといえるか・パスワードなどの管理によって,部外者にはアクセスできないなどの秘密として管理されていたか,といった点から判断しています。結論から言えば,業務上の秘密に当たると判断しています。

 情報の性質や管理状況が問題となりますので,一般に知られていない役立つ情報でも,誰でもアクセスできるような状態では,ここでいう「業務上の秘密」に当たらないと思われます。

 

 結論として,在職中に外に漏らす行為に着手していて,就業規則の義務(労働契約の内容になっているもの)に違反したと判断しています。このケースでは落ちだされた情報をもとに,元従業員側の残業代請求の資料に使われたという点があるようです。このケースで損害として主張されたのは,持ち出しによる裁判などの対応によって,本来するべき仕事ができなくなった点を基礎にするものと思われます。しかし,その内容やかかった時間が明らかではないという点から,損害としての証明がなされていないと判断されています。

 

 損害賠償請求をする場合には,その損害の内容を明らかにするとともに,本来得られた利益が得られなかったのであれば,その点を証明する必要があります。こうした点難しさを示したものと思われます。

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