会社の通常の業務時間以外に,様々な行事や懇親会が開催されることがあります。特に宴席の際には,飲酒をしたということで,女性に対するセクハラ行為が起こりかねません。こうした事柄が生じた場合に,会社自身も損害賠償金を支払う義務を負う場合はあるのでしょうか?
結論から言えば,十分にあり得ます。まず,セクハラ行為が行われたのかどうかは密室で行われた場合には,実際にそうした行為があったのかという事実の問題慎重に検討しないといけない場合もありますが,宴席などの席ではなかなかそうなりにくい面があります。
宴席の場は,会社の仕事を直接行う場ではありません。ただし,歓送迎会であれば,会社の仕事とかなり密接な関係があります。同様なことは様々な会社行事についても言うことができるでしょう。これに対し,歓送迎会などの後に行われる二次会などでは結びつきが薄くなっているのではないかということが考えられなくもありません。しかし,通常はこうした集まりは連続して行われる点もありますので,密接な結びつきがあるのではないかと判断される可能性は十分にあります。
裁判例では,会社の仕事を行うについて従業員が行った不法行為に対する損害賠償責任について,会社の仕事と客観的に見て密接根関連を有している事柄を「仕事を行うについて」に含むと判断しています。そのために,こうした宴席などの会社行事やその後の二次会などでセクハラ行為が行われた場合には,会社も損害賠償責任を負う可能性は十分にあります。実際,最近でもこうした点から会社の損害賠償責任を認めたケースもあります。
同様なことは,セクハラだけではなく暴力行為に関してもいうことができると思われます。なかなか社会人になって会社内で暴力沙汰もないのではないかと思われがちですが,パワハラという言葉もあるように,重視すべき問題点です。
会社のイメージとして,こうした不祥事が起こるのは避けたほうがいいでしょう。実際に問題が起きた際の対応ももちろん重要ですが,こうした事柄の問題を従業員を含め共有することも大事であると思われます。こうしたセクハラ行為に関する損害額に関しては,大きくは高額にはならない傾向があるようには思われますが,金銭的な面以外の様々な点の問題への目配りはしたいものですね。