
発達障害などが疑われる場合に,受診を命じることはできるのでしょうか?
障がい者雇用の法定雇用率引き上げに伴い、発達障害などの障がいがある方と周囲・取引先とのコミュニケーション不足によるトラブルが増加してきています。
まず,周りの従業員の方とトラブルを起こす従業員がいる場合、トラブルが起きる原因をきちんと調査をする必要があります。トラブルの原因は,その方だけでなく周りの方にあるかもしれませんし,その方の態度など様々な事柄が考えられます。そのうえで,その方に発達障害などのような原因を疑う相当な根拠があれば,受診をしてもらうことを考えていくことになります。
次に,実際受診をしてもらうという場合にもまずはご本人に説得するなど勧めてみることになるでしょう。
受診の結果「発達障害」との判断が出された場合の事後の対応は?
以下では,周りとのトラブルをよく起こす従業員に発達障害であったとの前提で記載をしておきます。あくまでも,こうした場合の対応法を記載するものです。
障がい者の雇用の促進に関する法律では、事業主に障がい者である労働者の特性に応じて配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備等、必要な措置を講じなければならないとしています。合理的な配慮の提供義務については,「合理的配慮指針」に具体的に定められています。
発達障害が採用後に分かった場合は、業務指導や相談に関し担当者を定める・業務指示やスケジュールを明確にし、指示を一つずつ出す等の対応を行うこと,出退勤時刻、休憩等について通院・体調に配慮することなどが定められています。
これらについては企業の規模、財務状況などから加重な負担にならない範囲で義務となります。従業員の障がいの程度、体調等に応じた慎重な対応が必要です。
なお、「合理的配慮指針」については、全国の都道府県労働局・ハローワークなどを通じて、事業主が実際に取り組んでいる事例を収集したものが、事例集として厚生労働省より公表されています。会社の規模や業種による対応例のほか、企業の規模や業種、障がい者が従事する職種によらず、多く事例があるものとして取り上げられているものもあります。発達障害が分かった場合に配慮すべき項目については、「合理的配慮指針」に記載されていますが、具体的にどのように対応するとよいかを検討するにあたって参考になると思います。