無断欠勤をした場合の対応(解雇と退職申し出があったものという扱い)
無断欠勤が続くと仕事が進まなくなる面がありますので,避けたいところです。きちんと勤務をして仕事をするように求めるのが通常ですが,あまりに続くようであれば,退職をしてもらう(場合によっては辞めさせる,という意味での解雇)を考えることになります。これに対し,突然出勤をしなくなり,その状況が続いている場合には,退職をしたものとして扱っていいかは問題となります。
退職をしたという場合には,その従業員の方からの「退職をする」という明確な意思の表明があるのが原則です。一般には退職届の形が多いかと思われますが,口頭で伝えるのであっても本来はいいところです。「無断欠勤」をするのは,勤務をしないという表明にはなるものの当然には退職をするという意思を表明したことにはならない点が面倒なところです。こうした場合に,対応としては解雇をするか・退職をしたものと扱って進めるのかというものが考えられます。
このうち,前者は無断欠勤が解雇に関する法律などの規制に照らして有効といえるのかという問題と解雇の通知をどうするのかが問題になってきます。有効かどうかという問題は,特に無断欠勤を繰り返すものの出社自体はしているケースでは問題が大きくなります。こうした状況が解雇をするだけの事情化という問題と他の対応をきちんとしていたのかという相当性の問題です。欠勤を繰り返す・続くという状況であれば特に後者の場合は該当する可能性が高くなります。出社を促すよう連絡や自宅まで行ってみた等も行っていた場合には,特に後者のケースではそれ以上の対応を会社側としてはできにくくなりますので,クリアする可能性は高くなります。
連絡をどのようにするのかという問題ですが,口頭による連絡もありますが,言った言わないの問題も出てきます。電話に出ない場合には留守番電話に吹き込むことで通知をしたものとは当然には言えないでしょう。通常は書類での連絡をするでしょうから(メールその他の手段による場合も考えられますが,多くは書類によるものと考えられます),これが届いたと法的に評価される必要があります。言い換えると単に普通郵便を送ってポストに入ったままで送ったとは言えないのが問題となる点です。特に行方が分からなくなったという場合には,この点が大きく問題となってきます、こうした場合の対応は面倒な点が出てきますので,特に行方も分からない場合には,解雇をするということは問題が出てきます。
退職申し出があったという扱いをどう考える?
先ほども触れましたように,欠勤が続く場合にどのタイミングで退職の申し出があったかははっきりしません。例えば,きっと一週間も何の連絡もなく欠勤した場合には,もう二度と勤務する気はないだろう⇒だから退職の意思が表明されたのだといっても,一般的にそうだとは言えません。そのため,こうした場合の退職の申し出がなされたといえるために,明確なルールを予めもうっけておく必要があります。
こうしたルールは職場のルール表として,従業員で共有できる形にしておくことは必要です。それに加えて,拘束力を与えるには就業規則あるいは契約書の中に決まりを入れておく必要があります。その際には,どれだけ無断欠勤が継続すればそうした意思があったものと扱うかをはっきりさせておく必要があります。ここがアバウトであると,結局先ほど触れた曖昧な話が残るということになり,意味がありません。
一定期間来なかったから退職したものとして扱ってその後のハローワークその他の手続きを進めてしまう場合,こうしたルールがないと結局は勝手に退職したものと一方的に決められた(=解雇)だということでトラブルの原因となりかねません。そうしたことを防ぐにもこうした方法は意味を持つでしょう。