
はじめに
前回は在宅勤務を会社に導入するにあたって、労働時間をどう管理するかといった点を中心に取り上げました。
在宅勤務は従業員の方もわざわざ会社に出向かずに仕事がしやすくなる反面、会社経営者の目の届かないうちに無理して仕事をすすめたりして健康を害するケースもありえます。
今回は、在宅勤務を従業員の方に行ってもらうにあたり、経営者が気をつけるべき健康管理に関する点を中心に触れていきます。
在宅勤務を行う従業員の健康に配慮するにあたってどんなことに気を付けるとよい?
従業員の方に、必要な健康診断(雇い入れ時・定期健康診断)を受けてもらうことはもちろんですが、パソコンのディスプレイをみながらの作業を行う業務に従事してもらう場合、「VDT作業ガイドライン」(VDT作業のおける労働衛生管理のためのガイドライン)などを念頭に、内容を従業員の方に知らしめるとともに、必要な助言を行うようにするのが望ましいとされています。
「VDT作業」とは、ディスプレイ・キーボード等により構成されるVDT機器を使って、データの入力、検索、照合など、文章・画像などの作成、編集・修正など、プログラミングや監視などを行う作業、と定義されています。
この「VDT作業ガイドライン」には、照明や採光、騒音など作業環境や一日の作業時間、作業休止時間、機器などについてどういった場合が適切かなど細かく定められています。参考にして頂き、自宅でもできる限り最適な環境を整えたうえで仕事をしてもらえるようにするとよいでしょう。
また、長時間座ってのパソコン作業となると腰を痛めることもありえます。腰痛については、「職場における腰痛予防指針」がありますので、こちらを参考にするとよいです。
さらに、実際にも長時間労働とならないように注意をすることも従業員の健康を確保するにあたって大切なことになります。具体的には、時間外や休日・深夜に業務に関する指示や報告をメールなどで行わない・外部のパソコンなどから会社の社内システムなどに深夜・休日はアクセスできないよう設定する・時間外・休日・深夜労働を原則として禁止したり、上司等による許可制にするなどというったことを徹底させるようにする、などが考えられます。
従業員の方が深夜・休日に仕事をする場合、事前に申告・事後に報告しないといけないとしておくと、従業員の方から事前に深夜・休日に働くとの申告がない・あるいは事前に従業員の方から深夜労働などの申請はあったものの、許可しておらず、事後の報告がなければ、以下のすべてを満たすときは労働基準法上の労働時間と扱われなくなります。
・会社の上司等から強制的に働かせられていた・義務いづけられたことはない
・深夜・休日に仕事をしなければならないほど、業務量が過大・期限の設定に無理があるような事情がない
・深夜・休日労働を推測させる事情がなく、上司なども知らない
・事前許可に期限があったり、実際と異なる申告をするよう圧力があったなどないこと
・事後報告に期限がある、報告しないよう圧力があったなどの事情がない
特に在宅勤務の場合は、実際の労働状況の把握が難しい点もあることから、特に労働時間についてはしっかり管理することで、従業員がいつの間にか長時間労働を続けていて体調を壊していた、といったリスクを防ぐことが出来ます。
まとめ
在宅勤務は、前回も書きましたように、働く従業員にとっても、会社までの通勤時間を気にすることなく、家事などをうまくこなしながら仕事も進めることが出来るというメリットがありますので、逆に無理に仕事をすることで体調を壊したりすることがないよう、会社側もうまく労働時間や健康管理をしながら利用していくのがよいと思います。