法律のいろは

2019年3月2日 更新労働問題のご相談

クレームとカスタマーハラスメント。顧客からの暴言などへの対応はどうすれば?

些細なミスに対する暴言や土下座の強要は違法

 ここ数年,顧客による土下座を従業員にさせた写真の投稿がSNSになされる・怒鳴りながらクレームを行うなどといった話が問題になっています。ごく最近は正確な定義はないものの「カスタマーハラスメント」という言葉も登場しています。従業員にとってのストレス原因となり離職やいわゆる労働災害につながりかねない可能性もあり,会社としてはきちんとした対応策を練る必要がありますが,こうした罵詈雑言や無理な行為をさせることにはどのような法律上の問題があるのでしょうか?

 

 まずわかりやすい例として,一時期報道もされていました小売店舗での「土下座」をさせる行為を考えています。飲食店や美容業界などいわゆるお客様相手のご商売では同じように問題となりかねない話かと存じます。通常「土下座」を自分から積極的にする方はおらず,そのような要求があってなされるものと考えられます。当然人に見られたら困ると考える社会的評価を下げる行為といえるでしょう。いくらサービスに足りない部分があった・ミスがあったにしても,相応の謝罪のレベルを超えたものと思われます。

 こうした本来は義務のないことをさせることは法律上「強要罪」という犯罪に該当しかねません。こうした場面を撮影してSNSに投稿することは名誉棄損に該当する行為になりえます。犯罪になりかねませんし,こうした対応をさせられた従業員に対する賠償責任をその顧客は負うことになるものです。また,こうした「土下座」の強要は,それまでに店舗内で大声で怒鳴る等の行為を伴っていることも十分ありうるものであって,店舗の運営に支障を及ぼしかねませんので,業務妨害罪という犯罪にもなりかねないものです。このほか犯罪に当てはまりかねないものを挙げれば出てきますが,いかに店舗・サロン側に落ち度があったとしても,こうしたやり方でお金の請求をすることは,過大な請求でなくても恐喝行為になりかねない点にも注意が必要でしょう。

 

 ここで述べた犯罪に該当しかねないという話は,その顧客の方について当てはまるものではありますが,会社側・経営者側にとっても,何も対応せずにおくことはリスク要因になりかねません。先ほど触れた従業員のストレス要因になる・離職原因になるという話で人の確保の問題につながりかねません。また,就労環境の悪化に対応していないことになりますので,従業員が心の病気になった場合に損害賠償の支払義務を負うことになりかねません。また,何もしないという意味での風評リスクも出てくるでしょう。

対応策は?

 現場の従業員の方は,こうした要求があれば困惑してどうすればいいのか分からないケースが多くなるでしょう。そのため,無理な要求にはこたえる必要はない等対応についてのルール化は必要でしょう。また,言った言わないの争いの出てくる可能性もありますので,証拠の保全は必要でしょう。コンビニエンスストアを中心にいわゆる防犯カメラでの録画がなされていれば対応の一策でしょうけれども,筆者の知る限りでは小規模なところを中心に飲食店の多くはこうしたものはないでしょうし,サロンではかなり少ないと思われます。

 

 会話のやり取りなどを記録でとっておく等の対応も必要ですが,ここでは無断で録音をできるのか・録音についてのルールなどを考えておく必要があるでしょう。店舗・サロン側にミスがあった場合などには相応の謝罪と対応は必要になりますが,大声で怒鳴る・罵詈雑言を投げかける場合に,改めて話などをすることやいったんお引き取りを顧客に求めることも必要になるでしょう。こうした大声などで営業に支障が出る場合も出てきかねません。顧客側がそれでも落ち着かず怒鳴り続けるなどする場合には,別途警察の対応を求める必要が出てくる場合も考えられます。

 

 先ほど述べた強要行為などがあった場合には,今述べた警察の対応を求める行為や法的な手続きを求めることを考える場合も出てくるでしょう。そうした場合には警察はもちろん,弁護士などの専門家への相談も一つの選択肢になるかもしれません。

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