
残業代とは,何かということで前回①から④まで内容ということを述べました。
今回はその続きです。
復習ですが,①から④とは
①法律上従業員の方を働かせていい時間を超えて働かせた場合に払うべき割増賃金
②各会社で定めている所定の労働時間(たとえば,9時から5時勤務で休憩が1時間とすると7時間勤務で す)を超えて従業員の方を働かせた場合に払うべき割増賃金
③休日(法律で定まっているものと各会社で定めているものがあります)に従業員の方に働かせた場合に払うべき割増賃金
のことでした。
前回,ある程度触れましたけれども,順次触れていきたいと思います。
今回は①と②についてです。 ①の場合と②の違いは,①については法律上割増率が決まっています。25%です。これに対して,②については,会社の就業規則や契約で決まりがない場合には割増賃金の支払い義務が出てくるものではありません。
法律上は,8時間勤務であれば,その間に1時間の休憩時間を取るように義務付けられています。また,いずれ触れますけど,法律上は原則として一日8時間・一週40時間を超えた勤務をさせることはできません。いわゆる36協定があるなどの法律上の一定の場合に勤務させることができるだけです。
こういった場合にあたらなくて残業させた場合に,割増賃金(残業代)の支払いを免れることを会社ができるわけではありません。こういった法律上の一定の場合にあたらない場合には,罰則もあるという会社や経営者にとっては更にまずい点になる点に特徴があります。
ところで,ここでいう労働時間(勤務時間)とはどんな場合を言うのでしょうか?会社で従業員の方が何の用事もなくダラダラしている場合も含むものなのでしょうか?
一般に労働時間とは,休憩時間にあたらない時間を指します。働くかどうかを従業員の方が自由に決めることができる時間が休憩時間です。こういった場合にあたらない時間は,全て労働時間になります。
この点は裁判例で繰り返し述べられています。ちなみに,裁判例では,仕事の準備等が会社から義務付けられている場合を含め,従業員の方が会社の指揮命令に置かれた時間と評価できれば労働時間と言っています。 こうした労働時間にあたるかは,問題となる時間を従業員の方がどう過ごしているかという点から決まっていきます。
こうした点は,会社で決まっている勤務時間終了後に従業員の方が仕事をしたのが,労働時間(勤務時間)と言えるのかどうかでよく問題になります。
こうした点の詳細は次回に触れたいと思います。