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法律のいろは

2019年2月7日 更新労働問題のご相談

採用をするかどうか決めるために,前の職場に状況を聞くことは可能?不採用にした場合には,応募書類はどうするのがいいのでしょうか?

採用の際に,前の職場に退職理由などの問い合わせは可能?

 採用活動が難しくなっている現状ですが,求人に応募をいただいた方が転職で前の職場があると,つい退職理由や働きぶりなどは気になるところです。他方で,情報を取得することや利用等については法律の規制や裁判例での判断の積み重ねが存在しますから,なんでも取得できるわけではありませんし,管理にも注意が必要です。特に,採用に関しては採用差別に当たるのではないか・採用という目的(自社の従業員として適性や能力があるのか)からみて適切な情報の取得といえるのかといった点で規制が存在します。こうした点は面接での質問といった点でも同じように問題となりうるものです。

 

 法律あるいは行政機関の指針では,社会的差別につながるいわゆる「生まれ」に関する事情(出身地や身分・民族的なものなど)・個人の思想信条に関するもの・労働組合に関わること等が禁止されています。また,面接を含めて,性別差別につながる結婚の予定や子供が生まれた後の勤務予定などを女性のみに聞くということ等にも規制が加えられています。そのため,いかに女性が多い職場であり,採用後の見通しをつけるためであっても注意をしておく必要があるでしょう。

 健康診断であっても,個人の健康などに関わる情報は要注意情報ですので,入社時はともかく採用選考の折には必要がなければ実施にはリスクが伴うことがありえます。

 

 このほか,前の職場をどうして退職したのかという話は,特に提出してもらった履歴書からみて気になった場合には面接で聞くという場合が多いかもしれません。そうした場合に,その理由が実際はどうであったか・働きぶりがどうであったかは,実際に勤務をしてもらう場合には影響がありうるので,いわゆる「裏をとる」ことをしてみたいところではあります。

 こうした点について,法律上は直接の規制はありませんが,法律で定めていることを明確にするために存在する行政機関の指針では採用の際に取得する情報は適法かつ公正な手段によることとされています。応募者に内緒で取得を図ることが適法かつ公正な方法によるものかどうかには問題があり,先ほどの指針では応募者本人の同意を得ること等を適法かつ公正な手段として挙げていますので,応募者本人の同意を得ておくべきと思われます。照会された側も本人の同意のない回答をしない可能性がありますので,円滑に進めるうえでも同意は必要です。

 

 前の職場に照会した結果が面接での回答と異なれば,当然採用するかどうかの重要な資料の一つとはなりうるものです。ちなみに,採用とは無関係に取得した応募者の個人情報を採否の判断で使うのは,個人情報の利用目的から見て問題が出てくる可能性がありますので,注意が必要でしょう。

不採用にした方の応募書類はどうすれば?

 人手不足の中で求人をする際に応募をいただいたからといって,当然に全員を採用というわけにはいかないかと存じます。こうした場合に履歴書など提出してもらった書類を返還する・処分する・保存しておくかは難しい問題です。ちなみに,応募の際に提出していただく書類も,戸籍謄本など先ほど触れました個人の生まれその他差別などにつながるものは求められないのが基本である点には注意が必要です。

 

 そのうえで,個人情報が含まれる応募資料を返還して残さないのであれば問題はありません。問題は,他の目的のために保管をしておけるのかという話です。分からなければいいという考えの場合には,分かった場合にリスクを負うことになります。法律上,個人情報にあたる情報(個人の特定ができる情報,生年月日などです)については,本来の利用目的以外の利用が認められていませんし,必要な利用が終わった場合には処分する努力義務が定められています。また,プライバシーに該当することが情報に含まれているのであれば,その公開は予定されていないのが普通で,損害賠償リスクが生じかねません。

 個人情報の漏洩のトラブルが多い昨今ですので,不採用にした方については早めに処分をするか返却をしたほうがいいでしょう。これに対し,採用した方についてはは一度返却や処分をしてまた取得するのは面倒ですので,採用の際に再度労務管理などの目的で利用することを同意しておくことで,煩雑な話をしないで済むでしょう。

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