
SNS等での不適切写真や動画を投稿された場合のリスクとは?
ごく最近も飲食チェーン店で見ている方に不快感を与える動画投稿がなされたという報道がなされていました。数年前にコンビニや飲食店の従業員がこうした投稿をしたことで報道がなされていましたが,自社の従業員が見ていて不快な投稿をするということは,自社の信用リスクにかかわります。対応として,一番は問題を起こさないことで,そのための研修や懲戒処分の規定を設けることっ必要です。とはいえ,実際にこうした投稿がなされた場合にはどのように対応するのがいいのでしょうか?
実際に投稿がなされた場合の対応は?
一番重要なのは,自社にとってネガテイブな情報になりかねないこうした情報の削除を求めること・外部の取引先やお客様に対して不安を与えないようにするための正確な情報提供です。情報の削除を迅速に行うには,SNSや掲示板であれば,その自主ルールに基づく削除の申請を行うのが一番早く簡単な対応になりますが,実際に削除されるかどうかは管理者側の判断となります。確実性と迅速性が満たされるかどうかには問題がありうるところです。また,削除を行うには,名誉棄損その他削除の理由を根拠とともにきちんと示すことが必要ですので,この準備ができるのかという点にも注意が必要でしょう。
次に正しい情報提供についてですが,いつ・どこで(店舗やサロン)・どのようななことがあったのかなどです。特に安全に関わる場合に重要になってきます。たとえば,飲食店での異物混入の恐れがある場合などです。こうした情報提供や謝罪の表示は自社のホームページやSNSが存在すれば,そこで行うことになるでしょうし,取材への応答で示すこともあるでしょう。できるだけ早めに第一報を示すとともに,事態の把握とともに補充していく形もあります。正確さとともに早めの情報開示によって不安を与えないことも重要となってきます。SNS等では,早めに情報が広く拡散する可能性がありますので,情報の混乱や不安を与えないようにいておくことが問題の軽減につながっていきます。
このほか,こうした投稿を行った方への対応もしていくことになります。誰が行ったかの特定は必要となります。自社内の人間でない場合には発信者情報の特定の面で問題が出てきますが,自社内でない場合には名誉棄損についての民事刑事上の対応をどうするのかという話を検討する必要があります。自社内の人間である場合には,通常こうした行為は非違行為になる可能性があります。
特に不適切な投稿は内部の方が書いている・投稿しているからこそインパクトが大きい場合もあります。こうした場合が非違行為に当たることを事前に注意をしておく(ダメなことがらの代表例を示して,リスクも説明するなど)ことを研修を通じて事前に示しておくことも重要です。従業員に,自社に対する愛着を持ってもらうとともに,簡単なルール作りでも構いませんから,自分事としてリスクを認識してもらうことが重要です。
事後の対応についての事実の確認や対応の内容についても注意が必要です。懲戒処分の場合には就業規則の整備だけでなく,言い分を述べる機会を与えること等のやり方も注意をしておく必要があります。
こうした対応は前に述べた2つの対応に比べてすぐのものではありません。とはいえ,きちんと事実関係を確認したうえで,自社に風評リスクその他(安全性に関わる場合にはこのこと自体で自社が損害賠償をする必要が出てきかねません)への賠償請求を含めてきちんと対応をする必要があるでしょう。