法律のいろは

2019年1月11日 更新労働問題のご相談

人手不足解消のための知人友人紹介制度(レファラル採用)。メリット・デメリットと注意点とは?

知人友人紹介制度とは?そのメリット・デメリットについて

 飲食業や・美容関係に限らず,求人への応募がないために人手不足の状況が続いている会社は多い状況です。こうした際の効率的な採用方法として,現在在籍している従業員の方から,親戚や知人友人等の紹介を受けて求人への応募をしてもらうという方法が広まってきています。以前一部大企業では「リクルーター制度」と呼ばれたものも同種のものですが,こうした制度には紹介への何かしらのインセンテイブをつけることがありえます。

 

 こうした制度のメリットとして

 ・紹介を受けることができるため,求人を効率的の行うことができる

 ・自社に対する理解をしている方から紹介を受けての応募であるため,ミスマッチが少なくなる可能性がある

 

 逆にデメリットとして

 ・紹介を強く促す仕組みが,特に転職の場合には強い引き抜き行為を伴う可能性があり,前職職場とのトラブルにつながる可能性がある

 ・あくまでも,応募段階での話のため面接など選考の結果不採用にした場合,紹介をした従業員に人間関係上のダメージを与え,離職等につながる可能性もある

 点が考えられます。

 

 また,このほかに,インセンテイブを与えて紹介を促すという点が,法律違反になる可能性があり注意が必要です。問題となる点は,採用する会社でも応募する方でもない方が,営利目的で繰り返し就職(転職)に介入することを禁止されている点・有料職業紹介の許可がない場合に,給料以外に求人担当従業員に会社がお金などを与えることを禁止しているという話です。

 友人紹介や知人紹介を繰り返し行っている場合に,営利目的といえるくらいのお金などのインセンテイブを与えていれば,法律違反になります。また,こうした紹介を行うのも求人の担当という扱いになりますから,給料といえない程度(紹介料と評価される程度)のインセンテイブを与えていれば,法律違反の可能性が出てきます。ペナルテイもありますから(前者は従業員に,後者は会社に対してです),違反がないようにするのは必要となります。

 

法律上の問題点と対応策は?

 法律上の問題は先ほど触れた,ペナルテイ付きの違反になるかの問題があるという点です。また,強い引き抜きを誘発した場合に問題となるのは,転職で自社の従業員が前の職場の従業員を引き抜いている場合ですが,基本的に法律上の問題が出るのは少ないですが,トラブル防止のために,度を越した引き抜きをした場合の問題点の指摘と注意はしておいた方がいいと思われます。

 

 こうした問題は,①就業規則を変更して,給料の中にインセンテイブ分を反映したものを追加する②社会的儀礼にとどまる範囲の謝礼や賞与での反映をするということが考えられます。営利目的で繰り返し介入するのは実質は紹介料目的のビジネスに近い場合ですし,こうした紹介料を払うのはどのみち先ほど挙げた法律に違反しますから,このような問題が出てこない形の制度対応をするというのが,①と②になります。給与の中に入れ込んでしまう(評価しステムも整える)・社会的な儀礼程度であれば,報酬とは言いにくいといった点を利用してのものになります。

 どちらの対応もありえますが,就業規則の変更にはハードルが出る場合もありますので,ここを注意して制度を整えていけばいいかと思われます。

 

 その他のデメリットである,実際に採用に至らない場合の問題ですが,あくまでも紹介すれば必ず採用ではないという話を社内で徹底しておく必要があります、こうした事で紹介を受ける側も誤解が生じないでしょう。このように,工夫をして導入を行い,従業員に温度差が出るなどしないように注意をしていく必要があるでしょう。

 

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