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法律のいろは

2018年12月19日 更新労働問題のご相談

労働者派遣のつもりが,法律違反で処罰される?労働者供給にあたるとして行政処分を受けたシステム開発業者への「二重派遣」の話をふまえて

 システム開発事業は重層的な下請け元請け関係のもと,納期や単価面の問題,長時間労働など様々法律上の問題が指摘されています。

 また,業務に従事する方を得るために労働者派遣を受けている場合には,派遣が法律上禁止されている「労働者供給」にあたるとして,問題が生じる可能性があります。

 今回は,先だって厚生労働省から報道公表をされたケースを踏まえて,この問題を触れていきます。

「労働者派遣」と「労働者供給」とは?

 システム開発だけでなく様々な業種で,別の会社の従業員に仕事をしてもらって自社の業務を行うことがあります。こうした場合について法律上様々な規制が設けられています。ここでは簡単に触れます。

 こうした形には,禁止されている形も含めればおおよそ次のものがあります。
① 出向

②業務処理請負

③労働者派遣

④労働者供給
 このうち,禁止されているのは④になります。

 ①はなじみのある言葉ですが,簡単に言えば元々いる会社の従業員として別の会社で仕事をすることを会社から命じられて行うことです。ですから,給料や雇用にかかわる話は全て元いる会社との間で問題になります。

 次に②は,建築工事などでもある話ですが,発注を受けた会社が自社の従業員を発注先で仕事をさせる・従業員への指示は自社で行う点に特徴があります。ちなみに,後者の点が曖昧になる(実質は発注先が指示・命令をしている)場合には「偽装請負」(法律の規制をかいくぐるため請負の形をとっている)として問題になります。
 
 これに対してよくわかりにくいのが③と④の違いです。両方とも,自社で採用手配をした従業員を別の会社でそこの仕事をしてもらう・仕事の指示などはその別の会社で行う点では同じです。

 もともと,労働者供給は供給をする側が従業員に支払う際お金を抜く等の点で問題になることから禁止されています。違いとしては,採用及び雇用をするのが派遣会社(ある意味では供給元)であるのが労働者派遣(③)・採用や雇用は供給先で行い,人を出す形の会社(供給元)はその従業員を支配してお金を抜く形(つまり,供給先と従業員が雇用契約を結ぶ)点で異なっています。
 今触れましたように,お金を抜くなどの供給元による搾取が大きいからということで,④の労働者供給は原則禁止され,違反には制裁・罰則が科されます。

 特に問題となるのは「多重派遣」と呼ばれるものです。一例をあげると,派遣業を営むA社が自社のお客さんから人を派遣してほしいという依頼を受けたものの人材を確保できないために,別のB社から人の派遣を受ける・B社にも同様の事情があり,別のC社から人の派遣を受けるという形です。この場合に実際に働くのがD社とすると,D社の依頼を受けて人を派遣しているのはA社でA社とB社・B社とC社が派遣契約をしている形になります。ここではお金を何層にも抜く等の弊害が出てきます。労働者供給はこうした「多重派遣」を含みません。
 法律上は,「労働者供給」として許容されたもの以外は全て労働者供給に当てはまるとして禁止しています。ここでいう「労働者派遣」とは派遣会社が採用した方を実際の就労先へ派遣するものですから,こうした「多重派遣」は禁止されたものに該当する可能性があります。

 今回報道されているケースでは,一部単純化して言いますと,行政処分を科されたうちの1社で,別の会社から請負契約の名のもと実際は「労働者派遣」を受けた方をさらに別のシステム開発会社へ派遣した話です。

 後者の派遣が実際は「労働者供給」という状況であったために,法律の禁止に違反しているからとして処分をされています。ちなみに,このケースでは労働者派遣では自社で採用していないことになりますが,自社で採用した従業員ということで派遣を行っていたことが実態として労働者供給との評価に結び付いた一因とも考えられます。

 人手不足に陥っている企業様が多い状況かとは存じますが,せっかく人が確保できてもこうしたことで問題が起きてしまっては業務への支障になりかねません。多くの派遣会社ではこうした問題は起きないと思われますが,こうした事柄にもアンテナを張っておいた方がいいかもしれませんね。

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