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法律のいろは

2017年5月30日 更新解雇

期間の定まった雇用契約の従業員の方の契約更新と解雇のハードル(その④)

 前回まで法律上(裁判例上)の期間の定めのある雇用契約の延長に関する話を触れました。今回は,延長されたかどうかとともに,延長された場合の契約内容(期間)がどうなるかが問題となった最近の裁判について触れます。

 

 問題となったのは,学校法人で期間の限定のある雇用契約で雇われた方が,学校法人からなされた雇止めは無効であることを前提に,現在も従業員であることと給料の請求を行ったものです。

 判決で確定された事実関係からは,こうした期間限定の従業員は,1年ごとの契約で・従業員が希望をして雇用期間更新が相当と認められた場合に3年を限度に更新を行うという規定が学校法人に存在しています。学校法人側は裁判中を含め各1年ごとに雇用期間の延長はせず終了するとの通知をその授業員の方に送っています。ちなみに,その学校法人が営む学校(3つ)で期間限定従業員として採用された方で延長が3年を超えた方は,問題となった方が採用されるまでの直近6年間で10人いて,全員が期間の定めのない従業員になっているようです。

 

 このケースは最高裁まで争られたケースで,争点としては雇止めが違法となるかどうか・違法になった場合の更新後の契約内容(期間を含め)がどうなるのかなどでした。

 第1審では,期間の定めのある(限定の)雇用契約が,期間の定めのないものと同等とは言えない場合であっても,期間更新の合理的な期待が従業員側にあった場合には,更新前と同内容の雇用契約が更新される(更新の前後で同内容)との判断をしています。そのうえで,このケースで更新実績は一度もないものの,3年間の継続雇用がなされ延長が少なくとも2回はあるとの期待が合理的に存在すると述べています。

 その理由として

 ①教育の効果の面から複数年の雇用に基づく指導がないと効果が出ないし,期間の定めのない雇用への意向の定めを学校法人でおいていること

 ②採用面接時に3年の期間と更新がなされるのが当然との話があった(争いはあるもののこのように認定されています)

 ③契約更新の直近6年の実態か

 等を上げています。こうして当初の雇止めの有効性を判断し,その後の雇止め(第1審時点では2度あ)を判断しています。そのうえで,解雇に準じるものとして雇止めを正当化する事由があるかを判断しています。結論として否定しています。

 

 第2審についても判断は同じです。ここでは,契約更新に関する従業員側の認識や更新実態から,延長の3年間は試用期間でその後は期間の定めのない雇用契約であるという期待を持つ合理性があると述べています。そのうえで,雇止めの通知に対して従業員側が拒否した点をもって期間の定めのない雇用契約への意向の申し込みであるととらえ,先ほど述べた機体の合理性を根拠に,更新を拒む(雇止めを正当化する)要素がない以上はその後は期間の定めのない雇用契約になると判断しています。

 

 これに対し,最高裁は第2審の判断を覆しています。厳密には3度目の契約更新の上限である3年は終わったから契約終了であるから契約は終了したとの判断をしています。ここでの判断の主な点は契約更新を上限である3年までしたあとに,どのような契約内容になるのかという点です。

 最高裁の判断では,期間の定めのない雇用契約に移行できるのはあくまでも勤務成績などを考慮して学校法人側が相当と認めた場合であると学校法人の規定にもあり従業員側も認識していたこと・学校法人の教員の形態の従業員には一定の流動性があるのが通常であること・契約更新の上限度に期間の定めのない雇用契約にならなかった方も相当数いたこと等を踏まえて,3年の更新期間の上限が経過すれば当然に期間の定めのない雇用契約に移行する契約内容ではなかったと判断しています。

 そのうえで,これから遠くに問題となってくる無期転換ルールを定めた法律の規定に,このケースではあてはまらないことを理由に,このケースで期間の定めのない雇用契約に更新上限に達した後に期間の定めのない雇用契約にはならないから,雇用契約は終了したと判断しています。

 

 この最高裁の判断には補足意見という個別の裁判官の方の意見がついています。それは簡単に言えば,雇止めに関する継続の期待と期間の定めのない雇用契約へ移行することへの期待は別のものであるため,合理性の判断をするにも違いがあるというものです。特に,期間の定めのない雇用契約へ移行することは,正社員採用と似た面を持つため,会社側に一定の裁量があるはずであると述べています。

 

 これから無期転換ルールが問題になってくるケースは増えてくるものと思われますが,それ以外に無期転換(期間限定から限定なし)へ移行するのかが問題になってくるケースがあるかもしれません。この裁判例は,雇止めが違法とされた場合に,その後の雇用契約がどのようなものになるのかは個別の事情によって異なってくる点を示していますから,当然に無期転換しないというわけでもない点には注意が必要です。

 人の採用後の処遇や採用時にその後の処遇をどうするかの設計に難しい点があることを示しています。

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