法律のいろは

2017年5月27日 更新解雇

期間の定まった雇用契約の従業員の方の契約更新と解雇のハードル(その③)

 前回,期間の定めのある雇用契約の方の契約更新拒否をしても更新と同じ扱いがなされる場合のパターンの一つに関する以前の有名な裁判例について触れました。今回はもう一つのタイプである,従業員側が契約期間満了まで・満了後遅滞なく更新してほしいとの申し入れをしてきた場合に,更新への合理的な期待をその従業員側が抱く事情があれば,更新扱いとなるという点の以前の有名な裁判例について触れていきます。

 

 問題になったケースでは,臨時工として採用された方の雇止めに関して,①そもそも期間限定の雇用契約だったのか②期間の定めのない雇用契約が反復更新されることで期間の定めのない雇用契約になるのか・そうはならないとしても期間満了だけで雇用契約が終了しない期待が会社と従業員側で生じるから,期間の定めのない雇用契約と変わりないものになるのか等が大まかに言って争点となっています。

 第1審では期間の定めのない雇用契約であるという判断のもとで,解雇の有効性を満たすのかどうかが判断され結果として有効ではないと判断されています。これに対して,第2審以降では,期間の定めのある雇用契約であるという前提から,反復更新をしたからといって特に合意などがなければ,期間の定めのない雇用契約や同等のものとはならないと判断しています。

 ただし,反復回数が5回であることやそれまでの会社からの言動等から相当期間の雇用契約の継続の期待が生じていることを前提に,更新の効力を否定する(雇止めが有効という)には解雇の有効性と同様のことを考えていく必要があると判断しています。そのうえで,結果として雇止めの効力は有効であると判断しています。

 

 期間の定めのある雇用契約が期間の定めのない雇用に転換した扱いなされる場合が法律で定められた現在では,ある条件のものとでは期間の定めのない雇用契約と同等と扱われる点には注意が必要です。ちなみに,更新への合理的な期待に関する事情については最近の裁判例の中でも,従業員側の心の中の話を問題にするのではなく会社側とのやり取り等の事情を考慮していくと述べられています。

 期間限定の従業員の方の処遇に関しては「無期転換」と呼ばれる扱いが実際になされる時期が迫ってきて有名な話題ではありますが,更新扱いになるのかどうかは先ほどの裁判例を主な例としてこれまで積み重ねられてきています。最近では,実際に更新扱いになる場合(雇止めが違法になる場合)に更新後の雇用契約の契約内容(雇用期間など)がどうなるのかを判断した裁判例がありますので,次回触れます。

 

 次回に続きます。

 

 

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