はじめに
債権回収に限らず、広く取引を開始する場合にもいえることですが、特に継続的な取引を行う、大きな金額での取引を行うとなると、取引相手となる会社が信用できるかどうか調査をしておきたいものです。
信用調査をしておかないと生じうる問題がどんなものか、そしてそれを防ぐにあたって信用調査をしたときに得られる情報等について取り上げます。
信用調査をしないと起こりうるリスクと調査の必要性とは?
割とあるのは、実際にすでに取引を始めた、あるいは初めてそこそこ期間が経って、売掛金債権などの回収に問題が出てきてから相談に来られるというケースです。
ただ、そうなってからのご相談の場合、えてして取りうる手段がすでに限られているとともに、もう少し早くに相手方会社の信用調査をしておけば、そういった問題は生じなかったのではないかと思われるケースも見られます。
特に実際に問題が起こってしまった場合には、他の取引先も含めて債権回収に躍起になりますので、どこに差し押さえの対象となる資産(不動産・価値ある動産・売掛金債権や預金口座も含め)が存在しているのか、早く把握していることが確実な債権の回収に繋がります。
また、取引先の金融機関からの借り入れ状況や、税金を滞納していないかどうか、重要な資産に対する担保設定や差し押さえの状況、負債の状況などを把握していると、大きな金額の取引は控えておくといった歯止めをすることもできます。
信用調査の方法・分かることは?
信用調査といっても、お金をかけずに行う方法から、ある程度のコストをかけて行うやり方まで様々です。
身近なところでいうと、取引先が開設をしているホームページの「会社情報」、会社代表者のFacebook、ツイッターなどもあれば確認しておきたいものです。
ホームページの「会社情報」には、会社概要や会社の沿革、主要な取引先や取引銀行などが掲載されていることが多く、取引先・取引銀行についてはのちに差し押さえをしての回収が必要になった場合には役立つことになります。
また、会社の登記情報を取り寄せることで本店所在地不動産の登記情報を取り、不動産の所有者や金融機関の借入に抵当権がついていないか確認しておきたいものです。また役員、特に代表取締役は自宅住所の記載もあるため、土地建物の不動産登記情報の取り寄せもしておくと代表者の資産状況もある程度把握できます。
会社の登記や不動産登記の取り寄せについては1件当たり600円の費用がかかりますが、ホームページについては費用がかかりませんので、少なくとも取引先会社にホームページがあれば内容は確認しましょう。
ただ、上記のやり方ですと会社の役員以外の株主の情報や会社の経営状況等までは分かりません。それを超えた情報を得るのであれば、もちろん費用と時間がかかります。
こういったより掘り下げた情報を得るには、信用調査会社に調査を利用することになります。業者は複数あるところですが、比較的手軽にこうした調査を行う会社として帝国データバンク株式会社が挙げられます。
ちなみに、こういた信用調査会社による調査では、株主に関する情報、設備に関する概要、系列や遠隔、業績、取引先、銀行取引、現況と見通し、貸借対照表や損益計算書など財務諸表情報、株主資本等変動計算書などの情報が入手できます。特に取引額が大きい場合、継続的な取引であるときは利用を検討してみるのも一つでしょう。
もっとも、小規模な会社については、こういった調査会社による調査でも限界があります。調査をするかどうかなどは弁護士などに相談をして決めたほうがいい場合があります。