原因の調査がまずは重要です
いわゆる電子マネー(ペイペイ・エディその他)の場合には問題は出ませんが,以前からと同じ現金でお金をやり取りしレジに一度売り上げを保管し後で清算をする場合には,売り上げと実際にレジ内にあるお金が一致しない場合があります。この原因は単にレジの計上その他に間違いがある(単なるミス)場合もあれば,こうしたミスはないものの売上金を持ち出した場合などが考えられます。いわゆる現金商売の場合には昔からありえた話と思われますが,原因は複数考えられるので,よく確認せずに早合点をすると(例えば,勝手に売上金を特定の方が抜いたという話など),名誉棄損行為その他に該当しかねないうえに,不当な賠償請求その他になりかねないという問題があります。
そのため,こうした状況が生じる場合には,原因がなんであるのか(レジの計上の仕方がどうだったのか・お客様の来店数や誰かの確認,施術内容の確認など)をすることで,本来あるべきお金がいくらであるのかを確認する必要があります。そのうえで,売り上げが合わない場合には(売り上げの勘定に間違いがない場合),お金の動き(レジ内でのお金の出し入りをしたのは誰か)や金額が合わなくなったのはいくらであるのかをきちんと確認しておく必要があります。聞き取りの方法による場合も相当程度出てくるものと思われますが,偏見なく確認しつじつまの合わない話はどこの段階で出てくるのか等を確認する必要があります。
永続的に合わないケースがある場合には,それぞれについて確認し共通項その他を確認していく必要があります。後になってから合わないことが判明した場合には,実際に各営業日ごとにどうであったのか・確認はどう行っていたのかを再確認していく必要もあります。
レジ内のお金を持ち出したことが判明した場合
事実確認をしてお金の持ち出しが判明したあるいはそう認定できる場合には,次にどう対応するかが問題になります。サロンのお金を持ち出すことは当然許される理由がないのが普通です。持ち出したお金については返却する義務が出てきます。また,お金の管理をしている方が持ち出し行為をしている場合には,刑法上の横領罪という犯罪に該当する可能性があります。持ち出しyたお金は,賠償請求の対象になる損害となり,法律上は遅延損害金も請求は可能となるものです。
対応として,民事上のお金の回収ができればいいと考えることが多いものと思われます。この場合に,持ち出した方にお金の支払能力があるのかどうかはかなり重要な問題となります。他の方で立て替えてもらえる人がいるのか・支払いプラン(分割の場合には保証人などを求めることが多くなるでしょう)をどうするかは重要な話です。いったん合意をすることは示談に該当する話ですから,回収可能性その他を考える必要があります。
本人は認めないものの,持ち出しの証拠がある場合には,民事上の裁判等の手続きや刑事告訴等を考えることになるでしょう。ただ,犯罪行為に該当する事実(問題となっている方が,お金の管理を行い・いつ,持ち出し行為をいくら程度行ったのか)の証拠がないといけません。主観的に証拠になると思っていても,それが実際にそう言えるのか(刑事事件の場合には証拠の収集方法が法令上許容できるものかなどがシビアに問題になることもありえます)等の検討が重要です。一度示談をすると,その後に刑事事件として取り上げてもらえない場合もありえますので,実際にどうするのかは相手の態度も見ながら考えて動いていく必要があります。