法律のいろは

2014年7月6日 更新時効管理

時効とは何?(消滅時効その①)

 以前報道によると,NHKの受信料がいつ時効にかかるのかという記事が出ていました。  

 NHKは,受信料未払い者に対する取り立てを強化しているそうです。請求する訴訟の中で,時効にかかったから消滅しているはずという反論を受け,いつ時効にかかったかが争点となっているのではないかと思われます。  

 ちなみに,時効にかかって消滅する(消滅時効)ためには,①法律上必要とされる時間の経過②時効を主張するという意思表示(援用といいます)が必要になります。  

 ①②のうち,問題となっている①は「権利を行使できるとき」から10年とされるのが民法の原則です。NHKの主張はこの原則通りだから必要な時間は経っていないというものだと推測されます。  

 これに対し,民法だけでなく商法や労働基準法等の法律で,短期間の時効期間が定められている例が結構あります。先ほど挙げた受信料の問題では,マンションの管理費や家賃等の定期的に支払うべきとされる権利から具体的に生じた権利であるとして5年の時効にかかるとするのが反論であろうと考えられます。  

 この説明では分かりにくいかもしれませんが,受信料も契約によって毎月発生して支払うべきとされているから,家賃などと同じく定期的に支払うべき権利(NHK側から見て契約上そうなっている)から具体的に生じたお金であると考えるものでしょうね。裁判例は分かれている状況です。  

 なぜこんなに争うのか,その意図は本人しかわかりませんが,時効に必要な期間が短いほど支払うべき法律上の義務が残る期間が相当変わってくる(10年と5年では,5年分変わってきます)点は大きいのではないでしょうか?  

 先ほど挙げた①は,「いつから」「どのくらい」が大きな要素となってきます。日常生活で関わってきそうな例を時効期間について,少しだけあげておきます。

「いつから」はサービスを受けるものは基本的には受け終わった時からと考えればいいかと思います。支払期限が設けられていれば,その期限が過ぎてからです。

 1 電気料や売掛代金(ただし裁判例上問屋のものは含まれないとする例があります)・クリーニング代金や理髪店の代金  ⇒時効期間2年  

 2 医者や薬剤師の診療報酬  ⇒3年  

 3 学習塾の授業料・賃金や給料 ⇒2年  

 4 運送代金・飲食代金・宿泊代金 ⇒1年  

 以上はあくまで代表例の一部です。このほかにも「商行為」と法律上されるものは5年だったりしますが,説明が長くなるのでここでは省略します。  

 時効の問題は,権利がある側からすると法律で権利が保護されなくなりかねないものです。ですから,時効にかからないようにするためどうするかは極めて重要になります。商売をされている方なら当然ですし。  

 時効の話もいずれまた続きをふれたいと思います。

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