継続的な取引とは?
事業をする際の取引には,売買や委託を受けた事柄・請負工事など様々ありうるところです。一見のお客さんからの依頼もあれば,係属して仕入れて顧客に販売する形・委託を受けて販売や請負をするケースなど,継続した取引を行っている事業者の方は多いでしょう。
このような取引の他に,不動産の管理やフランチャイズ・販売代理店としての取引も継続した取引となってきます。
こうした継続的な取引は,突然一方的に打ち切ると言われれば事業継続や損失が発生するなどの問題が出てきかねません。逆に取引相手の事情によっては,これまで継続して行ってきた取引を解消したいという希望も出てくるところかと思われます。契約期間が定まっている場合や契約の際に契約の解消について定めておくという方法がありますが,契約期間が定まっておらず特に契約で定めていない場合には問題が出てくる可能性が大きくなります。
実際には,継続的な取引(契約)であるかどうかが争いになることもありえるところで,合意がはっきりない場合には,契約に関わる当事者の状況や契約の対象となるもの(売買対象など)・取引期間や実績その他の取引状況・取引慣行等をどう考えていくかが問題となってきます。当事者の状況には言動や依存度などの要素を考えていくという考え方も存在しますが,様々な要素を考慮してという形になっていきます。
継続的な取引を解消は容易にできるのでしょうか?
契約の解消については,①自由にいつでも解消できる②取引相手に信頼関係を壊す言動が出てきたなど「やむを得ない事情」が存在する,という考え方が大きくいって分かれるところです。ただし,①の考え方に立ったとしても,解消する相手方に損害賠償を行う必要があるという考え方・解約の際には一定程度の猶予期間が必要(解約の一定期間前に通告が必要)という考え方も存在します。
今回は,契約期間の定めのない継続的な取引を触れていきます。
そもそも,こうした考え方の分かれ目としては,継続的な取引であれば,一定程度その取引に依存しているために突然契約が終了すれば不測のダメージを受けかねない等の点への考慮があります。実際,裁判例の中では②の考え方をとるもの・解約には一定期間の猶予が必要と考えるものが多く存在します。
実際契約解消にはそれだけの事情が存在することなく唐突にということは少ないかもしれませんが,解消したいと考えている原因が「正当な理由」に当たるのかどうか・解約を申し入れるにしても猶予期間を置くことは必要となってくるでしょう。契約解消を申し入れられる側にとっては,こうした「正当な理由」が存在するのかどうか・猶予期間がどの程度あるのかどうか等を考えて対応を考えていく必要があります。
実際には,ケースによって様々ですから,弁護士など専門家に相談するなどして対応を考えておいた方がいいでしょう。