法律のいろは

2020年12月17日 更新契約問題のご相談

テナントのオーナー側の都合で,賃貸借契約の中途解約を求められた際の対応は?

テナントの賃貸借契約の中途解約のハードルは実は大きい

 飲食店やサロンその他物件をテナントとして借りて事業をしている場合に,突然に数か月後に賃貸借契約を中途で終了したいといわれることは大きなダメージとなりかねません。事業基盤がなくなりかねませんし,テナントの移転費用やその際の売り上げ減少をどうするのかなど気になるところはたくさん出てくるところかと思います。

 

 貸している側(大家側)や管理会社からは,賃貸借契約書にある条項を根拠にされる場合が多いかと存じます。契約ごとによって中身は異なるでしょうけれども,「中途解約の場合には○か月前までに通知をする」ということが多いのではないかと思われます。契約通りということであれば,この文言ですべて決まり,特に先ほどの費用面の対応はしないということになりそうです。

 しかし,法律上,一般に借主の立場が弱いということも踏まえて契約内容が規制させています。ここでの規制は,法律の規定よりも売りな契約内容を無効にするというもので,このテナントを借りる契約(借家契約)に関する中途解約についても存在します。

 法律上,解約をする場合には,その6か月前までの解約の申し出をする必要があるほかに,大家側からの解約の申し入れについては,正当な理由が存在することが要求されます。この正当な理由があるかどうかは様々な要素を考慮したうえでの話になりますが,主には大家側・テナント側がその物件を使う必要性が高いかどうかの考慮が中心になります。これに加えて,それまでの物件の利用の経緯や利用状況や現在の姿・立ち退き料の有無や金額が考慮されます。

 普通,テナントとしてご商売をしている場合にはその物件を使う必要性は相当高いということになります。これに対して大家側も必要があるので退去を求めてくるということにはなりますが,立て替えの必要性や他に転売するなどの理由から空き室にしたいという点はあくまでも大家側にも利用の必要性があることを示すことにしかなりません。言い換えれば,こうした理由が大家側にあることで正当な理由があるという話には簡単にはならないという話です。

 建物の立て替えについても老朽化のためにどうしても必要という場合はともかく,単により有利な運用のための立て替え(大家側としては重要な話)も,ここでの必要性を強く基礎づける話にはなりにくいというのが裁判例の傾向のようです。もちろん,立ち退き料やその他の事情によって補強はされる要素です。

 

 双方に必要性が高い場合には立ち退き料やテナント側の契約違反の有無や内容・権利金や更新料があったのかどうかなどが問題になります。権利金や更新料があたという方が(家賃は高い方が),借主側の利益を保護するという方向に向かいやすくなります。

 

 こうした要素を考えたうえで,大家側(あるいは管理会社)と交渉をしてみる(主には立退料等の話がメインになるでしょう)というのが対応策の一つです。もちろん,退去辞退したくないというのもありえますが,今後の大家側などとの関係等の事情も考慮しての対応にはなるかと思われます。

契約書の記載により中途解約されるといわれた際の対応での注意点は?

 こうした場合には契約の記載よりも法律の決まり(先ほど触れた点)が優先されますので,まずは先ほどの正統理由が存在しそうなのかどうかを考えたうえで対応をする必要があります。テナントとして別の場所を探す負担が大きく費用もかかる,立地面などでその場所で行う必要が高いという場合には,テナント側の利用の必要性が大きくなります。大家側とテナント側の利用の必要性が同程度という場合には,立ち退き料やその他の要因がどうかが問題になります。

 これまでテナントの使い方や家賃不払いなどのことがない場合で特に建物の老朽化が進んでいるというわけでもない場合には,立ち退き料以外の要因ではそう簡単には正統理由を強く補強できないことも十分にありうるところです。

 

 移転費用や営業面の損失などを考えて立ち退き費用の交渉をするというのが一つの方法ですが,その際には法律が契約に優先すること・中途解約が認められる正当な理由ありと言いにくいのではないか(その根拠も含めて)示したうえで交渉をすることになります。立ち退き料などの名目はともかくお金の話が出た際に絶対的な目安はありません。ケースごとの事情により正当な理由をh供するものなので,ケースごとで異なるためです。借主側の立場から見れば,負担となる要素をその根拠を示しつつ話をしていくことになるでしょう。

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